Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般ポスター 健診・その他
健診・その他

(S695)

腹部超音波検診5年間の分析

Analysisi of abdominal ultrasonography for 5years

河野 美保, 迫 宜之, 久保 美喜, 山口 勝利, 木場 博幸, 大竹 宏治, 川口 哲

Miho KAWANO, Nobuyuki SAKO, Miki KUBO, Katsutoshi YAMAGUCHI, Hiroyuki KOBA, Koji OTAKE, Tetsu KAWAGUCHI

1日本赤十字社熊本健康管理センター第二検査課, 2日本赤十字社熊本健康管理センター内科

1Second examination division, Japanese Red Cross Kumamoto Health Care Center, 2Department of internal medicine, Japanese Red Cross Kumamoto Health Care Center

キーワード :

【はじめに】
我々は1983年から人間ドック,地域・職域健診において腹部超音波検診を実施してきた.今回2009年から2013年の5年間の検査成績をまとめたので報告する.
【対象】
2009年4月から2014年3月までに人間ドック,地域・職域健診で腹部超音波検査を受診した延べ328,806人.
【方法】
現在,施設内では装置9台,集団検診では超音波検診車8台(装置9台)を用いて腹部超音波検診を行っている.検査機器は,東芝製7台,日立製11台を使用.スクリーニングは全て技師が行い,全員が検査士の取得をノルマとしており,装置1台の処理人数は,1時間あたり8名から10名程度を基本に実施している.
【結果】
①1983年からの腹部超音波検査の受診者数は1997年の91,627人がピークで,対象の2009年から2013年の受診者数は約65,000人/年程度であった.初回受診者と非初回受診者との比率,年齢分布,精検受診率に差は認めなかった.
②要精検率,陽性反応的中度(以下PPV)はそれぞれ2009年2.3%,PPV4.6%,2010年2.3%,PPV4.5%,2011年1.8%,PPV6.6%,2012年2.6%,PPV5.9%,2013年2.8%,PPV5.1%で平均2.4%,PPV5.3%であった.
③悪性疾患症例数(発見率)は2009年60例(0.09%),2010年57例(0.09%),2011年62例(0.10%),2012年87例(0.13%),2013年82例(0.12%)で,5年間の総計は348例(0.10%)であった.
④臓器別にみた悪性疾患発見率(図1)は,2012年度から上昇している.膵臓,腎臓の発見率上昇が顕著であった.
【まとめ】
2012年度以降の悪性疾患発見率の上昇に受診者側の要因を認めないため,機器的には機器の性能向上と操作手技の取得,人的(手技的)には画像拡大操作,確実な体位変換の実施を考えた.がん検診の精検受診率をさらに強化する目的で,2009年から人間ドックにおいて,悪性疾患が疑われる症例および緊急を要する症例は検診受診当日に精密医療機関の受診予約を行う医療連携システムを確立した.また,2014年からは,腹部超音波判定マニュアルに沿ったカテゴリーも導入している.今後さらに,質の高い技術(検査,読影),検診の標準化(機種選定,判定基準,比較読影)など腹部超音波検診の向上につとめていきたい.