Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

一般口演 消化器
肝臓その他

(S521)

カラーMモードを用いた門脈系の超音波診断

Understanding portal hemodynamics by using color M mode

石田 秀明, 長沼 裕子, 大山 葉子, 渡部 多佳子, 長井 裕, 鈴木 克典, 小川 眞広

Hideaki ISHIDA, Hiroko NAGANUMA, Yoko OHYAMA, Takako WATANABE, Hiroshi NAGAI, Katsunori SUZUKI, Masahiro OGAWA

1秋田赤十字病院超音波センター, 2市立横手病院消化器科, 3秋田厚生医療センター臨床検査科, 4NGI研究所, 5山形県立中央病院消化器科, 6日本大学病院消化器肝臓内科

1Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 2Department of Gastroenterology, Yokote Municipal Hospital, 3Department of Medical Laboratory, Akita Kousei Medical Center, 4New Generation Imaging Laboratory, 5Department of Gastroenterology, Yamagata Prefectural Central Hospital, 6Department of Gastroenterology and Hepatology, Nihon University Hospital

キーワード :

Mモードは,その基本となるBモード画像上の超音波走査線に沿った各点の経時的位置変化を表示する方法で,以前から循環器領域では日常的に用いられてきたが腹部領域ではほとんど活用されていない.一方,カラードプラモード(Color flow mapping: CFM)はBモードの視野内の各点について,血流のある箇所をその平均血流速度に該当するカラーで表示する方法で腹部領域でも異常脈管や血流異常の診断に日常的に用いられている.さらに,このCFMにMモードを組み合わせた表示(以下:カラーM)も以前から循環器領域では日常的に用いられてきたが腹部領域ではほとんど活用されていない.今回,我々は,下記の方法で門脈系の超音波診断にカラーMが活用できないか検討し若干の知見を得たので報告する.
使用診断装置:東芝社製:AplioXG, Aplio500,GE社:LogiqE9,日立アロカ社製:Ascendus, Preirus.
【対象と方法】
超音波による詳細な観察が可能な右肋間から,Bモード,CFM,を施行し,次いでカラーMとFFTを施行し門脈本幹-肝内門脈の状態を詳細に把握可能であった下記疾患を対象に,カラーM所見を検討した.対象疾患の訳分けは,a)腫瘍の動脈門脈短絡(4例),b)術後の門脈狭窄による乱流(5例),c)門脈血栓による乱流(3例),d)門脈ガス(2例),の14例である.
【結果】
1)腫瘍の動脈門脈短絡:全例において,門脈逆流の状態は一定ではなく,動脈の拍動に引き続き逆流のピークがあり次第にそれが減じていくことがカラーMで最も容易に理解し得た.2)術後の門脈狭窄による乱流と門脈血栓による乱流では,乱流の状態に差が無く,規則性を欠く流速や無秩序の方向性を示すことが,FFTに準じる理解易さを示した.3)周囲の門脈血流の動きと異なる強散乱体の動きが他の表示に比して,最も容易に把握できた.
【まとめと考察】
腹部超音波診断において,視野内の血行動態を把握する方法として,視野全体を大まかにみるCFMと特定の一点の状態を詳細に観察するFast Fourier Transform(FFT)がある.しかし,ある一点の経時的変化のみの評価であり,もう少し広範囲における経時的変化を把握し全体像に近づく手法も求められる.今回のカラーMはFFTの様な一点ではなく走査線に沿った一線を観察できる利点があり今後活用する価値はあると思われた.今回の検討では,門脈ガスは周囲の門脈血流の動きと異なる強散乱体の動きが容易に把握でき,動脈-門脈短絡では,動脈血流に会わせてリズミカルに逆流する門脈血流の状態が明瞭に表現され,門脈狭窄による門脈乱流例では,全く規則性を欠く流の状態がFFTとは異なる視点で理解でき,カラーMが一つの表示手段としての価値を持つことが示された.更に強調すべきは,カラーMはCFM,FFT,ともども通常の普及機にも搭載されており,ほぼどのような装置でも日常的に施行可能な表示法であることである.今後更に多彩な疾患や多数の症例に対し,CFM,カラーM,FFT,を比較検討しカラーMの臨床的意義に関しの検討を深めたい.