Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2017 - Vol.44

Vol.44 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
特別企画 領域横断 プライマリ・ケアで役立つ体表臓器超音波診断と実践活用術

(S164)

皮膚科・運動器領域~皮膚・皮下疾患,関節病変を中心に~

Ultrasound in Evaluation of Superficial Soft-tissue lesions and Musculoskeletal System

西岡 真樹子, 太田 智行, 中田 典生

Makiko NISHIOKA, Tomoyuki OOTA, Norio NAKATA

東京慈恵会医科大学放射線医学講座

Radiology, The Jikei University School of Medicine

キーワード :

近年,系統的な臓器別検査や検査室での超音波検査に対し,焦点を絞りその場で行う超音波検査,「point-of-care超音波」の概念が広まっており,特に外傷性疾患を中心に定着しつつある.体表領域ではガイドラインのような明確な走査方法や診断法は現在のところ明示されていないが,日常診療の中では汎用性の高い領域である.その背景として超音波装置の小型化が挙げられる.必要最小限の機能を備えた携帯型が広く普及しており,小型化とはいえ,特に体表臓器においてはCTやMRのような他のモダリィ-と比較して画像の解像度は高く,病変の大きさ,内部性状,周辺臓器との関連,深達度など詳細評価をベットサイド・外来等で容易に検査を行うことが可能である.また,対象患者は幅広い年齢層を網羅し,0歳から高齢者まで,健常人や外来入院患者,および妊娠中や在宅臥床療養中などのような状況であっても検査が可能である.
皮膚・皮下疾患領域では,発赤や腫瘤などのように目に見える疾患が一般的で,自覚症状を主訴とすることが多い.主訴による経過や他覚的所見によりある程度は鑑別が絞られるが,病変の範囲や深達度の評価に超音波は適している.また,急性発症の下腿浮腫や腫脹を主訴とする疾患にもしばしば遭遇し,治療に繋がる診断評価に重要となる.今回は主な良性疾患を中心に鑑別を挙げながら症例呈示をしていく.
骨・関節疾患領域については,外傷性疾患のみならず,筋・骨格の非急性期外傷性疾患,慢性的な炎症性疾患,腫瘍性疾患など,リアルタイムでの診断治療に寄与する役割は大きい.動きをリアルタイムで観察できる点がX線検査やMRIにはない大きな長所である.また,骨病変についてはX線による情報が第一選択となるが,骨周辺軟部組織の評価には優れている.
本セッションでは,プライマリーケアーの観点で,これらの領域において超音波検査の実践活用法を述べていく.