Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
健診

(S865)

人間ドックで発見された腹部内臓動脈瘤(上膵十二指腸動脈瘤)の1例

A case of splanchnic artery aneurysm (superior pancreaticoduodenal artery aneurysm), which was discovered in medical checkup

上山 真一1, 齊藤 弥穂2, 瀬戸口 有紀1, 西口 知佳子1, 山口 良子1, 北川 尋基1, 伊藤 弘子1, 丸上 永晃3, 平井 都始子3

Shinichi UEYAMA1, Miho SAITOU2, Yuki SETOGUCHI1, Chikako NISHIGUCHI1, Ryouko YMAGUCHI1, Hiroki KITAGAWA1, Hiroko ITOU1, Nagaaki MARUGAMI3, Toshiko HIRAI3

1新生会高の原中央病院臨床検査科, 2新生会高の原中央病院放射線科, 3奈良県立医科大学中央内視鏡超音波部

1Department of Clinical Laboratory, Takanohara Central Hospital, 2Department of Radiology, Takanohara Central Hospital, 3Department of Endoscopy and Ultrasound, Nara Medical University Hospital

キーワード :

【はじめに】
腹部内臓動脈瘤は腹部大動脈から分岐する血管の動脈瘤である.全動脈瘤に占める割合は0.1〜0.2%で稀な疾患であるが,破裂した場合は死に至るケースも少なくなく破裂前に発見することは非常に重要である.今回我々は人間ドックにおける腹部超音波スクリーニングで未破裂の腹部内臓動脈瘤を経験したのでその後の治療も含め報告する.
【症例】
59才,女性.既往歴は特にないが,一年前にバイクで転倒し胸腹部の打撲を受傷.採血データに異常なく高血圧,高脂血症はなかった.
【超音波所見】
膵頭部と十二指腸下行脚との間に約15mmの円形で境界明瞭な腫瘤性病変を認めた.腫瘤内部には6mmの円形の嚢胞部分が存在した.カラードプラでは嚢胞部分に渦状に旋回する血流表示を認めパルスドプラにて動脈波形が検出された.US上は総肝動脈からの連続性が疑われ内臓動脈瘤と診断した.
【造影CT】
USで認めた瘤は上膵十二指腸動脈と連続していた.
以上より上膵十二指腸動脈瘤と診断し,加療のため他院に紹介となった.
【文献的考察】
腹部内臓動脈瘤の発生原因は動脈硬化,線維筋性異形成,分節性動脈中膜融解(SAM),炎症,外傷など様々で本例は外傷が考えられたが断定はできなかった.発生部位は脾動脈が一番多く約60%で,肝動脈約20%,上腸間膜動脈5.5%,腹腔動脈4%,上膵十二指腸動脈では1.6%と非常に稀であるとの報告がある.治療対象は一般的に2cm以上,増大傾向があるものなどで現在ではカテーテル治療が第一選択となる.上膵十二指腸動脈瘤では破裂すると死亡率が高く積極的な治療が望まれる.
【まとめ】
人間ドックにおける腹部超音波スクリーニングでカラードプラなど装置の能力を最大限に生かし走査する事で,未破裂の腹部内臓動脈瘤を発見,診断し得た症例を経験した.腹部超音波スクリーニングにおいてはこのような症例も念頭に置き積極的にカラードプラなどを使用していくことが重要である
【まとめ】
人間ドックの腹部超音波スクリーニング実施時に無症状で未破裂の腹部内臓動脈瘤を発見,診断し得た症例を経験した.健診においてもこのような症例が含まれ得ることを念頭に置き,異常を発見した際はカラードプラなど装置の能力を積極的に使用し走査する事で速やかに精密検査へ移行する認識が重要である.