Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 胎児異常③

(S854)

尿道低形成を合併した高位鎖肛・膀胱直腸瘻の1例

Prenatal diagnosis of a fetus with anorectal agenesis associated with rectovesical fistula and urethra hypoplasia: a case report

井上 万里子1, 尾本 暁子1, 新井 聡子1, 石井 久美子1, 石田 智己2, 岡山 潤1, 佐久間 有加3, 中田 恵美里1, 田中 宏一1, 生水 真紀夫1

Mariko INOUE1, Akiko OMOTO1, Satoko ARAI1, Kumiko ISHII1, Tomoki ISHIDA2, Jun OKAYAMA1, Yuka SAKUMA3, Emiri NAKADA1, Hirokazu TANAKA1, Makio SHOZU1

1千葉大学医学部付属病院周産期母性科, 2千葉県こども病院新生児科, 3千葉県こども病院産科

1Department of Maternal Fetal Medicine, Chiba University Hospital, 2Department of Neonatology, Chiba Children’s Hospital, 3Department of Obstetrics, Chiba Children’s Hospital

キーワード :

【はじめに】
鎖肛は幅広い病型を持つことが特徴であり,男児では直腸と膀胱や尿道との間に瘻孔を形成することがある.今回胎児期に巨大腹腔内嚢胞として紹介された,尿道低形成を合併した高位鎖肛・膀胱直腸瘻の一例を経験したので,胎児期の超音波検査所見について報告する.
【症例報告】
29歳,初産婦.胎児腹腔内嚢胞(妊娠10週10x8mm,12週37x24mm)のため妊娠14週に当科を受診した.単胞性の低輝度な嚢胞(14週32x47x36mm)が胎児腹腔を占拠しており,腹部は著明に膨満していた.最大羊水深度は2.8cmであった.尿道閉鎖(男児)を疑い,外来にて経過観察した.
妊娠中期,26週頃までは,最大羊水深度5-6cm程度に保たれたまま経過した.嚢胞は,徐々に増大し腹側で妊娠26週には臍輪の高さに達した.囊胞は背側側で突起状に左右に広がる複雑な形を示し,内部に高輝度の小粒状の沈殿物が観察された.右腎は軽度水腎を呈し,左腎は確認できなかった.羊水量が保たれていたことから,尿道閉鎖ではなく,尿道の狭窄や,膀胱の収縮不全によるプルーンベリー症候群や巨大膀胱短小結腸管蠕動不全症などが疑われた.
妊娠28週時に,羊水減少・胎児腹水・皮下浮腫を認めた.経腹的嚢胞穿刺を行い,内容液を1600ml除去した.内容液は淡黄色透明で,褐色の小粒状沈殿物を認めた.穿刺翌日には,嚢胞内容液の再貯留と胎児腹水を認めた.羊水も少量観察された.妊娠29週に,2回目の嚢胞穿刺を施行した(950ml廃液).2回の内容液除去後に厚みのある嚢胞壁が観察されたため,総排泄腔症や膀胱膣瘻に陰核肥大を合併している可能性もあると考えた.
穿刺後短期間で再貯留すること,切迫早産兆候を認めたことよりその後長期にわたる妊娠管理は困難と考えた.妊娠中期まで羊水が認められていたことから,肺の成熟が期待できると考え,妊娠30週,3回目の穿刺後に帝王切開術にて児を娩出した.児は2870gで,外性器は男性型,腹満が著明であり,鎖肛を認めた.外尿道口からカテーテルを挿入したところ,尿と便の排出を認めた.挿管人工呼吸器管理となったが,日齢9に抜管した.出生後の精査にて尿道低形成を合併した高位鎖肛・膀胱直腸瘻,左腎欠損と診断され,同日人工肛門造設術を施行した.日齢41より尿道カテーテル留置を定期導尿に切り替え,退院に向けた調整を開始している.
【考察】
一般に,直腸膀胱瘻では胎児期に拡張した腸管・著明な腹部膨満・羊水過少が認められ,拡張した腸管には胎児尿に混じた胎便が低輝度および高輝度の小粒状沈殿物として観察される.本例で観察された腹腔内嚢胞は腸管ではなく,拡張した膀胱であった.直腸膀胱瘻を介して,胎便が膀胱内に貯留したものと考えられる.高輝度の沈殿物を有する腹腔内囊胞が観察された場合には,腸管膀胱等も鑑別にあげる必要があると思われた.