Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 胎児異常②

(S852)

出生前に超音波検査で血管腫を強く疑った胎児巨大腹部腫瘤の一例

A case of fetal hepatic hemangioma suspected by the antenatal ultrasonography

天雲 千晶1, 花岡 有為子1, ABOELLAIL Mohamed1, 石村 球2, 森根 幹生3, 前田 和寿3, 秦 利之1

Chiaki TENKUMO1, Uiko HANAOKA1, Mohamed ABOELLAIL1, Mari ISHIMURA2, Mikio MORINE3, Kazuhisa MAEDA3, Toshiyuki HATA1

1香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学, 2GE Healthcare Japan, 3四国こどもとおとなの医療センター総合周産期センター産科

1Department of Perinatology and Gynecology, Kagawa University Graduate School of Medicine, 2GE Healthcare Japan, 3The Obstetrical Department of Perinatal Medical Center, Shikoku Medical Center for Children and Adaluts

キーワード :

【緒言】
胎児期および新生児期にみられる固形腫瘍の中で,肝臓由来のものは約5%と非常に稀であり,その内血管腫が約60%といわれている.胎児肝血管腫は無症状で経過するものから,高拍出性心不全・胎児水腫をきたすもの,分娩時に腫瘍破裂を起こすもの,胎内でDICに進行するものなど予後不良例の報告も散見される.今回我々は,胎児超音波検査で腹部腫瘤を認め,胎児肝血管腫を強く疑った症例を経験したので,報告する.
【症例】
28歳,2経妊1経産婦.近医で妊婦健診を受診していたが,妊娠23週より胎児の胃胞左外側に腫瘤を認めた.徐々に増大傾向にあるため,精査目的に妊娠29週3日当院を紹介初診された.経腹超音波検査では胎児胃胞左外側に45×40×23mm大の境界明瞭で内部に血流を伴う嚢胞を多数含む腫瘤を認めた.腫瘤への流入血管は腹腔動脈と門脈系,臍静脈系から成り,下大静脈へと向かう流出血管を認めた.HDliveFlow+HDlive silhouette modeでは,血流に富んだ腫瘍と,周囲臓器との立体関係を容易に把握することが可能であった.妊娠34週に施行したMRI検査では,肝左葉辺縁にT1強調像で高信号,T2強調像でやや高信号を示す36×21mm大の腫瘤を認めた.腫瘤内部にflow voidがあり,拡張した血管が豊富にみられる腫瘤であることが推測された.超音波検査やMRI検査からは,肝血管腫を最も強く疑い,肝芽腫,間葉性過誤腫,動静脈奇形なども鑑別に考慮しながら,超音波検査で経過を観察したところ,腫瘍の増大傾向はなかった.妊娠35週5日,セカンドオピニオンのため受診した施設で,胎児の軽度な高拍出性心機能障害を指摘され管理入院となった.経過中超音波検査上は胎児心機能の明らかな増悪傾向はなく,妊娠37週2日に選択的帝王切開術を施行し,2676g女児,Apgar score8点(1分)9点(5分)で娩出された.新生児の腹部超音波検査で肝S3と連続した腫瘤を認めた.胎児期にみられていた拡張した流入血管は不明瞭であり,腫瘤全体の血流が減少していた.出生後より明らかな心不全徴候,凝固系異常を認めず,全身状態安定していたため,日齢16に退院となった.
【結語】
胎児腹部腫瘤は出生前診断が困難な疾患であるが,種々の超音波検査を頻回に行い,情報を多数集め,MRI検査を参考にすることで肝血管腫を強く疑った症例を経験した.従来の報告によると胎児期から出生後の経過は症例によって様々であるが,重篤な合併症発生の可能性を念頭に置き,慎重に周産期管理すべきである.