Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 胎児異常①

(S850)

四肢顔面骨形成不全症ロドリゲス型同胞例の1例

A Siblings Case of Acrofacial Dystosis type Rodriguez

石黒 共人, 西岡 暢子, 西澤 しほり, 大野 基晴, 関根 花栄, 山田 敦子, 永井 富裕子, 糸賀 知子, 須賀 新

Tomohito ISHIGURO, Nobuko NISHIOKA, Shihori NISHIZAWA, Motoharu ONO, Hanae SEKINE, Atsuko YAMADA, Fuyuko NAGAI, Tomoko ITOGA, Shin SUGA

越谷市立病院産婦人科

Obsterics and Gynecology, Koshigaya Municipal Hospital

キーワード :

【緒言】
四肢顔面骨形成不全症ロドリゲス型(Acrofacial dystosis type Rodriguez)は,1990年にRodriguezらにより新たに報告された四肢顔面骨異形成症の1型である.重症下顎骨低形成,軸前性四肢欠損,腓骨及び肋骨の欠失,内臓形態異常,中でも,無嗅脳症と肺分画異常を認める非常にまれな疾患である.今回,Nuchal translucency(以下NT)肥厚を主訴に紹介受診され,四肢短縮所見を契機に四肢顔面骨異形成症ロドリゲス型の診断に至った症例を経験したので報告する.
【症例】
39歳,3経妊1経産
31歳:13週時に頚部浮腫を指摘され前医受診.妊娠15週時に羊水による胎児染色体検査施行 結果46,XY正常核型であった.妊娠17週時羊水過少,全身浮腫,脊椎側弯,児頭反屈位 四肢短縮を認め,21週人工妊娠中絶となった.
35歳:妊娠9週に自然流産
36歳:妊娠39週に自然経腟分娩,男児,健児
今回,顕微受精後妊娠.妊娠13週6日にNT肥厚を指摘され当院に紹介となった.初診時超音波検査所見にてNT = 4.4mm(正中不明瞭なため参考値)を認めたが,常に反屈位を取っていたため正確な計測ができなかった.梅毒・トキソプラズマ・風疹・サイトメガロ・パルボB19等の抗体検査は陰性であった.妊娠15週3日超音波検査所見にてBPD = 27.2mm(-2.7SD),AC = 98.5mm(-1.1SD),FL = 6.1mm(-5.7SD)と著明な四肢短縮所見を認めた.児は検査中常に反屈位であり,3D超音波検査でその特徴は観察可能であった.1回目妊娠時の児に下顎骨低形成,軸前性四肢欠損を認めていたことも含めカンセリングを施行,妊娠中絶を希望されたため,妊娠17週に人工妊娠中絶となった.児は外表所見にて四肢遠位側の著明な短縮と下顎骨の低形成を認め,X線検査にて上肢脛骨欠損,下肢遠位骨欠損,肋骨低形成,及び下顎低形成を認めた.骨系統疾患コンソーシアムに第1回目妊娠時の児の外表所見写真と今回の児の外表写真,X線写真,妊娠16週での3D超音波検査写真を送付し,四肢顔面骨形成不全症ロドリゲス型の診断に至った.
【結語】
NT肥厚を主訴に紹介受診され,四肢短縮所見を契機に四肢顔面骨形成不全症ロドリゲス型の診断に至った1例を経験した.妊娠初期のNT肥厚は児の染色体疾患の他に心疾患,骨系統疾患,筋疾患を認めることが報告されており,今回の症例においても妊娠初期にNT肥厚を認めた.また,3D超音波検査を行うことにより特徴的な胎勢を観察することが可能であり,診断の一助となった.