Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 胎児異常①

(S849)

著明な四肢短縮と胎児水腫を認めた一例

The case of prominent short limbed dwarfism and hydrops

前田 佳紀, 吉田 純, 鈴木 僚, 川端 伊久乃, 桂木 真司

Yoshiki MAEDA, Atsushi YOSHIDA, Ryo SUZUKI, Ikuno KAWABATA, Shinji KATURAGI

榊原記念病院産婦人科

Obseterics, Sakakibara Memorial Hospital

キーワード :

【緒言】
先天性骨形成不全症は骨化異常による骨の重度の脆弱性と多発性骨折を特徴とする疾患で4型に分けられるがⅡ型が最重症型である.今回先天性骨形成不全症に胎児水腫を合併した症例を経験したので報告する.
【症例】
41歳.8経妊1経産(38歳時,3890g女児).母体は157cm.夫は155cm.自然妊娠成立後,近医で妊婦健診を受けていた.妊娠10週および妊娠12週1日の健診では週数相当の胎児発育であった.妊娠16週1日,著明な四肢短縮と胎児水腫を認め当院紹介受診となった.妊娠16週5日,BPD:38.2mm(+1.1SD),AC:22.2cm(+0.1SD),FL:7.1mm(-5.6SD),Tibia:3.5mm(-8.7SD),Fibula:4.0mm(-7.4SD),HL:7.1mm(-7.1SD),Radius:5.2mm(-6.9SD) Ulna:6.4mm(-6.4SD)と遠位,近位骨ともに著明な短縮を認めた.上腕骨の彎曲が疑われた.頭蓋骨は著明に菲薄化し,それに伴い頭蓋内構造が正常に比して明瞭に描出された.胸部周囲径:72.5mm(-1.5SD)と軽度の胸郭低形成を認め,肋骨は短くビーズ状であった.皮下浮腫は全身に認め,腹水を中等度認めた.弁逆流,心嚢液貯留はなく明らかな心内構造異常,弁逆流,心嚢液貯留を認めなかった.十分なICの上,妊娠18週時に妊娠中断を選択された.児の全身CTおよび単純X線写真では頭蓋骨は著しく菲薄,頭蓋底・顔面は比較的骨化が進んでいた.長管骨はいずれも著しく短縮し一部で彎曲あり一部に辺縁のフレア所見あり.肋骨は中等度の骨化不全を認めた.椎体は扁平であった.以上から重症の骨形成不全症が疑われたが,両親の希望から確定検査による診断確定の希望はなかった.
問診からは,7回流産歴のうち4回で四肢短縮の存在が疑われた.他施設に情報提供を依頼したところ,32歳時では四肢短縮と心奇形を認め18週時に人工中絶となり,レントゲン検査よりAstley-Kendall dysplasiaの疑いであったが,遺伝子検査は行われず確定診断には至らなかった.39歳時では四肢短縮,胸郭低形成,頭蓋骨菲薄化,胎児水腫,腹水貯留を認め20週時に人工妊娠中絶となり,画像所見より先天性骨形成不全症Ⅱ型の診断であり,遺伝子検査ではCOL1A1に変異を認めた.
【結語】
先天性骨形成不全症は診断に苦慮する場合が多く,超音波所見のみならず過去の妊娠歴,家族歴,娩出後の画像検査が有用である.診断確定には児や両親の遺伝子検査が考慮されるが,両親の考えやその後の挙児希望の有無など様々な要素を勘案することが必要である.