Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 胎児異常①

(S848)

Cerebro-costo-mandibular syndromeの1例

A Case Of Cerebro-costo-mandibular syndrome

笠原 華子1, 田嶋 敦1, 中村 靖2, 吉田 幸洋1

Hanako KASAHARA1, Atsushi TAJIMA1, Yasushi NAKAMURA2, Koyo YOSHIDA1

1順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科, 2FMC東京クリニック産婦人科

1Gynecology, Jyuntendo Urayasu Hospital, 2Gynecology, FMC Tokyo Clinic

キーワード :

【緒言】
Cerebro-costo-mandibular syndrome(以下,CCMS)は,小下顎症,肋骨形成不全,精神運動発達遅滞を主徴とする,稀な先天異常症候群である.今回我々は,出生後呼吸不全に至ったCCMSの1例を経験したので報告する.
【症例】
28歳0経妊0経産.自然妊娠成立.妊娠初期に児の後頚部浮腫を指摘され,胎児スクリーニングを行ったところ,Cystic hygroma,小下顎症を認め,Pierre Robin syndromeが疑われた.絨毛検査の結果,明らかな染色体異常は認めなかった.妊娠31週0日前期破水のため入院となり,妊娠34週0日FGRのため帝王切開の方針となった.羊水過多,小顎症を認めたが,超音波検査上,気管や鼻からの羊水フローを認めたため,気道は開通していると考えた.また,胸郭低形成があったことから肺低形成も懸念し,小児科,小児外科と協議の上,帝王切開時にEXITに準じて胎児の上半身が出た状態で,気管内挿管を施行した.児体重1371g,Apgar score 1分値2点,5分値3点.臍帯動脈血pHは7.137であった.早産低出生体重児,特異的顔貌と胸郭低形成を認めたため,当院新生児科へ入院となった.
入院時現症:体重1371g,身長43cm,頭囲28cm,胸囲21cm.小下顎症,陥没呼吸,胸郭低形成を認めた.その他,外表奇形は認めなかった.
胸部X線写真:心陰影不明瞭,BomselⅣ度.右肋骨7本,左肋骨9本.
心臓超音波検査:PDA,VSD,PH
経過:出生時,EXIT法にて気管内挿管.入院後より高圧換気を要した.酸素投与後もBomselⅢ度.生後12時間後頃より血圧低下認め,用手換気と昇圧剤投与で一時回復したが,繰り返し同様の症状が出現した.生後19時間半,血圧低下を認め蘇生を開始するも改善なく,生後20時間死亡となった.
【考察】
CCMSは,1966年にSmithらによって初めて報告され,1970年にMcnichollらによってcerebro-costo-mandibular syndromeと命名された.小下顎症,肋骨部分欠損,中枢神経系異常を3主張とした稀な先天異常であり,本邦で報告されているCCMSは本症例で6例目である.CCMSの3主張のうち,小下顎症と肋骨部分欠損は全例に認めるが,中枢神経系異常については長期生存例において精神発達遅滞を認めない症例もあることから,中枢神経系異常は新生児期の呼吸障害における低酸素血症に起因する二次的なものである可能性も考えられる.CCMSでは,新生児期に呼吸障害を伴うことが多く,生後1週以内に17%,1年以内に57%が死亡している.しかし呼吸障害が十分に管理できた例では,必ずしも予後不良ではないと考えられる.
小下顎症を呈する疾患には,Pierre Robin syndromeやStickler syndromeが挙げられる.これらの疾患と診断されているものの中にCCMSが含まれていることも報告されている.妊娠12週頃に小下顎症を認め,妊娠18週で胸郭低形成を認めたことでCCMSを疑うことができた症例の報告もある.本症例では,後頚部浮腫を指摘されたことから胎児スクリーニングを行った.その際に小下顎症と心奇形は指摘されたが,胸郭低形成に関しては指摘されなかった.小下顎症を呈する症例では,CCMSの可能性も視野に入れ胸部の詳細な精査を行うことでCCMSを疑うことができるのではないかと考えた.
【結語】
今回,呼吸障害が重篤なCCMSの1例を経験した.十分な呼吸管理が可能であった場合,予後良好な経過をたどる症例もあることから,小下顎症を認めた際は,同時に胸部の精査を行うことで事前に十分な備えができると考えた.