Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 胎児異常①

(S847)

妊娠28週で子宮内胎児死亡となった胎児上顎体の一例

A case of giant epignathus teratoma

川端 公輔, 中川 絹子, 馬詰 武, 千葉 健太郎, 小島 崇史, 小山 貴弘, 石川 聡司, 山田 崇弘, 森川 守, 水上 尚典

Kosuke KAWABATA, Kinuko NAKAGAWA, Takeshi UMAZUME, Kentaro CHIBA, Takashi KOJIMA, Takahiro KOYAMA, Satoshi ISHIKAWA, Takahiro YAMADA, Mamoru MORIKAWA, Hisanori MINAKAMI

北海道大学病院産科

Obstetrics, Hokkaido University Hospital

キーワード :

【緒言】
胎児の口腔腫瘍の一つである上顎体は3万5千〜20万分娩に1例と稀な疾患である.妊娠中は胎児の羊水嚥下障害に伴う羊水過多への対応,分娩時には児の気道確保のためEXITが考慮されるなど,妊娠管理に難渋する疾患であるが,腫瘍が巨大になると胎内での胎児への影響も無視できない.
【症例】
30歳,初産婦.妊娠15週に胎児顔面前方に径3.1cmの腫瘍が認められ次第に増大した.妊娠24週の胎児MR検査では嚢胞と充実成分が混在した上顎体が疑われ,周産期管理目的に当院へ母体搬送となった.妊娠26週には腫瘍は径13.1cmに増大し,羊水過多も経時的に増悪することから腫瘍による気道閉塞が予測され,分娩時のEXIT等が検討されていた.また,腫瘍が胎児に匹敵する大きさであるため,高拍出性心不全も想定して慎重に管理した.妊娠28週に胎児心不全兆候はなかったが,腫瘍の性状変化と栄養血管の血流速度低下を認めた同日に子宮内胎児死亡となり,775gの女児を経腟で娩出した.剖検の同意は得られなかった.腫瘍の長径は18cm,重量510gで,腫瘍は口蓋裂の近傍から発生し,組織型は未熟奇形腫(Grade 3)であった.
【考察】
本疾患では,高拍出性心不全から胎児死亡となることがあるが,本症例はその兆候はなく腫瘍の性状変化と栄養血管の血流速度低下が唯一の所見であった.今回剖検が得られず胎児死亡の原因検索は不十分であるが,腫瘍の胎児への影響も考慮される.羊水過多への対応や分娩時の気道確保だけでなく,今後は腫瘍の胎児への影響まで含めた病態解明とそれに応じた対応が望まれる.