Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 羊水・羊膜・胎盤

(S845)

妊娠20週頃より巨大なAmniotic fluid sludgeを認めた1症例

A case that giant Amniotic fluid sludge was found at gestational age 20weeks

角田 陽平1, 松島 隆1, 針金 幸代1, 稲垣 知子1, 黒木 睦実1, 高屋 茜1, 間瀬 有里1, 深見 武彦1, 米山 剛一1, 竹下 俊行2

Youhei TSUNODA1, Takashi MATSUSHIMA1, Sachiyo HARIGANE1, Tomoko INAGAKI1, Mutsumi KUROKI1, Akane TAKAYA1, Yuri MASE1, Takehiko FUKAMI1, Kouichi YONEYAMA1, Toshiyuki TAKESHITA2

1日本医科大学武蔵小杉病院女性診療科・産科, 2日本医科大学女性診療科・産科

1Department of Obstetrics and Gynecology, Nippon Medical School Musashikosugi Hospital, 2Department of Obstetrics and Gynecology, Nippon Medical School

キーワード :

Amniotic fluid sludge(以下AFS)とは経腟超音波検査にて内子宮口付近に認める羊水中の高輝度集塊像である.AFSの成分は不明で血液,胎便,胎脂などの説があるが,最近の報告ではAFSが子宮内感染や炎症を示唆するバイオフィルムである可能性も示唆されており,切迫早産や早産既往のある無症状妊婦とAFSに関連が見られると報告されている.今回妊娠20週頃より巨大なAFSを認め,妊娠23週3日に分娩され新生児死亡に至った1症例を経験したため報告する.症例は36歳0経妊であった.妊娠17週5日に性器出血を自覚し当院に受診された.診察所見では頸部に2cm大の頸管ポリープが見られ,胎盤に接するように絨毛膜下血腫(Subchorionic hemorrhage:以下SCH)を認めたため,入院管理とした.入院後,安静療法と腟洗浄により経過観察を行い,SCHは徐々に減少した.妊娠20週0日に血腫の排出を認め,診察所見でSCHは完全に消失し小さなAFSを認めた.妊娠21週頃よりAFSが急激に大きくなるとともに頸管長も31.5mmと短縮傾向を認めたため塩酸リトドリン内服を開始した.子宮収縮は完全に抑制されず,頸管長も23.9mmと短縮したため,塩酸リトドリン点滴を22週1日より開始した.妊娠22週4日に完全破水し,AFSや頸管ポリープも診察所見上消失していた.ご本人,夫へ十分なインフォームドコンセントの結果,より高次施設への母体搬送は希望されず23週6日以前に分娩になった場合は自然経過とする方針となった.破水後の管理は塩酸リトドリンによるTocolysisを継続した.しかし子宮口開大が進行,妊娠23週3日に陣痛発来し骨盤位にて分娩となった.児はインフォームドコンセントのごとく自然経過にて経過観察し新生児死亡となった.母体は分娩後1日目に診察所見異常なく退院となった.AFS陽性例では数日以内に前期破水,分娩となる徴候の可能性がありより慎重な管理を要することが示唆された.