Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 胎児心臓・血管

(S844)

単純型大動脈縮窄症と胎児診断した一例

Example that performed Simple Coarctation and a prenatal diagnosis

長澤 智子1, 三井 伸弥1, 三井 卓弥2, 田中 高志3, 川瀧 元良4

Tomoko NAGASAWA1, Shinya MITSUI1, Takuya MITSUI2, Takashi TANAKA3, Motoyoshi KAWATAKI4

1医療法人なごみ会三井病院検査室, 2医療法人なごみ会三井病院産婦人科, 3宮城県立こども病院循環器科, 4東北大学産婦人科

1Ultrasonography Suite, Mitsui Hospital, 2Obstetrics and Gynecology, Mitsui Hospital, 3Cardiovascular Department, Miyagi Children’s Hospital, 4Obstetrics and Gynecology, Tohoku University

キーワード :

左心系の低形成を伴った単純型大動脈縮窄症と胎児診断されるも,出生後左室系が急激に拡大し正常化した症例を経験したので報告する.
【症例】
母体は23歳 1妊0産.12週経腹超音波にて5.8mmの後頸部浮腫を認めた.染色体検査は未実施.20週のスクリーニングで左心系が小さく,右心系が大きい.カラードップラーにて2本のストライプを確認.左室流出路から出る上行大動脈を確認した.流出部のVSDは確認できず.3 vessel trachea viewでは動脈管が拡大し,大動脈弓は確認できなかった.大動脈弓の長軸断面では大動脈弓が確認できず.左室から伸びる上行大動脈が頭側に伸びている所見だった.以上の所見より大動脈弓離断を疑い高次医療機関へ紹介.高次医療機関精査では,四腔断面像で僧帽弁輪径5.4mm,三尖弁輪径9.5mmと左心系が小さく,卵円孔を通る血流から卵円孔狭窄はなし.大動脈弓の長軸断面では,大動脈弓は離断していないが峡部が全体に細く,逆行性血流を認めた.以上の所見から,単純型大動脈縮窄症・僧帽弁狭窄症・左心低形成と胎児診断され,将来両心室修復が難しくフォンタン手術が必要になるかもしれないと両親へ説明された.38週3053g経膣分娩で出生.アプガースコア1分後8点,5分後9点であった.
出生後左室・僧帽弁共に拡大.後壁の動きが不良.僧帽弁流入速度,左室流出路流速共に加速はなかった.大動脈弓は途中から低形成,流速は最大で1.3m/sだった.動脈管血流は両方向シャントとなっており動脈管依存の可能性もあったため,プロスタグランジン持続静注を開始.生後4日,僧帽弁,左室はさらに拡大(僧帽弁輪径は7.3mm)左室僧帽弁後壁の動きの改善がみられ,僧帽弁流入速度の加速はなかった.大動脈弓も太くなり,動脈管のシャントも左右優位となった.卵円孔は完全に閉鎖した.プロスタグランジンを中止,動脈管が完全閉鎖後も問題なく退院.出生後の診断でダウン症などの染色体異常は否定された.在胎20週〜35週までの四腔断面での僧帽弁径・三尖弁径,左室長軸断面での大動脈弁径・上行大動脈径をZscoreで比較した.(図参照)
【考察】
左心系の低形成,右心系の拡大が妊娠20週の早期から観察され,スクリーニングでは大動脈弓離断,精査エコーでは単純型大動脈縮窄症と診断されたが,出生後に正常化した興味深い症例を経験した.単純型大動脈縮窄症の胎児診断の難しさを再認識した.