Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 母体②

(S841)

卵管嵌頓を認めた成人鼠径ヘルニアの症例

Inguinal Hernia Containing Fallopian Tube in Adult

小野 政徳1, 白橋 真由1, 冨岡 紀子1, 渡辺 慶子1, 横山 野武2, 岡本 信彦2, 元村 祐介3, 池田 俊之1, 矢久保 和美1, 福井谷 達郎1

Masanori ONO1, Mayu SHIRAHASHI1, Noriko TOMIOKA1, Keiko WATANABE1, Nobu YOKOYAMA2, Nobuhiko OKAMOTO2, Yusuke MOTOMURA3, Toshiyuki IKEDA1, Kazumi YAKUBO1, Tatsuro FUKUIYA1

1さいたま市立病院産婦人科, 2さいたま市立病院外科, 3さいたま市立病院放射線科

1Obstetrics and Gynecology, Saitama City Hospital, 2Surgery, Saitama City Hospital, 3Radiology, Saitama City Hospital

キーワード :

【緒言】
鼠径ヘルニアのうち,卵管ヘルニアは女児とくに乳児においてしばしば経験される.成人症例は稀であり,報告例は少ない.今回,鼠径ヘルニア内容が卵管であった成人症例を経験したため報告する.
【症例】
44歳,0回経妊.受診1週間前に左鼠径部の膨隆部位に疼痛が出現した.左鼠径部の膨隆が続くため近医を受診し,左鼠径ヘルニア嵌頓の疑いで当院へ紹介となった.超音波検査を含む画像診断より,ヘルニア内容として左卵巣・卵管が疑われたため,外科と合同で腹腔鏡下手術を行った.ヘルニア臓器は卵管で,ヘルニア門は内鼠径輪であった.このため腹腔鏡下にヘルニア修復術,卵管摘出術を行った.
【考察】
鼠径ヘルニアの中で外鼠径ヘルニアは,ヘルニア臓器が内鼠径輪抜けて鼠径管に入るものをいう.滑脱臓器としては,腸管が多いが,稀に虫垂,卵巣・卵管,子宮,膀胱もあると報告されている.今回の症例は術前の超音波検査を含む画像診断より,卵管滑脱ヘルニアの可能性があった.このためヘルニア修復の術式として前方到達法ではなく腹腔鏡下手術を選択することにより腹腔内観察を行い,ヘルニア修復術と卵管摘出術を同時に行った.
【結語】
卵管嵌頓を伴う成人鼠径ヘルニアに対し緊急腹腔鏡下手術を行い良好な結果を得た.本症は稀な疾患であるが,急性腹症,鼠径部腫瘤の鑑別診断として考慮しておくことが重要である.事前の超音波検査を含む画像診断により,当該各科が連携して治療を行うことが可能となる.