Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科 母体①

(S837)

SMIを用い既往帝切,前置胎盤症例における子宮筋層菲薄化を診断した一例

The ultrasound diagnosis of thinning of myometrium in a case of placenta previa with previous Cesarean section using SMI superb micro-vascular imaging

木村 いぶき1, 吉里 俊幸2, 荒木 陵多1, 讃井 絢子2, 宮本 新吾1

Ibuki KIMURA1, Toshiyuki YOSHIZATO2, Ryota ARAKI1, Ayako SANUI2, Shingo MIYAMOTO1

1福岡大学病院産婦人科, 2福岡大学病院総合周産期母子医療センター

1Department of Obstetrics and Gynecology, Fukuoka University Hospital, 2Center for Maternal, Fetal and Neonatal Medicine, Fukuoka University Hospital

キーワード :

【緒言】
SMI(superb micro-vascular imaging)は,モーションアーチファクトの影響を低減し,微細な低速の血流検出能を高フレームレートで実現した新しい超音波ドプラ技術である.SMIを用い,既往帝王切開分娩,前置胎盤症例において,胎盤付着部位の子宮筋層菲薄化を診断し得た症例を提示する.
【症例】
33歳,3回経妊2回経産.帝王切開の既往があり,妊娠29週時に前置胎盤の診断で,当センターに初診となった.経腟超音波断層法では,胎盤は内子宮口から子宮下部前壁にかけて付着していた.妊娠32週時,経腹超音波断層法(Toshiba Aplio 300)では,胎盤が付着する子宮下部前壁筋層の一部が描出できず,子宮下部筋層の菲薄化ないし欠損を疑った.Advanced dynamic flow(ADF)では,子宮下部前壁,胎盤基底板直下において広範に血流信号が描出されなかった.さらに,SMIを用いて胎盤が付着する子宮下部前壁を連続的に観察したところ,胎盤基底板直下において一部の血流信号が描出できなかった(図).MRI検査では,同部位を中心に筋層の菲薄化を認めた.以上の所見から,子宮下部筋層の菲薄化と診断した.妊娠33週時に多量の性器出血を認め,緊急開腹術を行った.開腹所見では,子宮下部前壁の筋層はほぼ欠損し,胎盤母体面が透見できた.児娩出後,胎盤娩出を試みることなく,単純子宮全摘術を行った.
【考察】
SMIは,従前のADFよりも,さらに微細かつ低速の血流を捉えることができる.SMIを併用することにより,子宮筋層菲薄化・欠損の正確な診断が期待される.