Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
乳腺

(S830)

定期的な超音波検査が発見に有用であった異時性両側乳癌の1例

A case of asynchronous bilateral breast cancer detected by ultrasonographic breast screening

櫻井 健一1, 2, 藤崎 滋2, 富田 凉一2, 長島 沙樹1, 2, 鈴木 周平1, 2, 原 由起子1, 2, 安達 慶太1, 増尾 有紀1, 榎本 克久1, 平野 智寛1

Kenichi SAKURAI1, 2, Shigeru FUJISAKI2, Ryouichi TOMITA2, Saki NAGASHIMA1, 2, Shuhei SUZUKI1, 2, Yukiko HARA1, 2, Keita ADACHI1, Yuki MASUO1, Katsuhisa ENOMOTO1, Tomohiro HIRANO1

1日本大学医学部外科学系乳腺内分泌外科学分野, 2医療法人社団藤崎病院外科

1Nihon University School of Medicine, Department of Breast and Endocrine Surgery, 2Fujisaki Hospital, Department of Surgery

キーワード :

本邦における乳癌治療成績の向上により,異時性の両側乳癌に遭遇する機会が増えている.乳癌診療ガイドラインでは術後の経過観察は視触診とマンモグラフィのみが推奨されている.今回われわれは片側乳癌の術後経過観察で超音波検査が有用であった異時性両側乳癌の1例を経験したので報告する.
症例は49歳,女性.右乳頭血性異常分泌で当科を受診.右乳管内乳頭腫の疑いで右側の乳管腺葉区域切除術を施行したところ浸潤性乳管癌(ER陽性,PgR陽性,HER-2陰性,Ki-67: 40%)の診断であった.切除断端が陽性であったため乳房円状部分切除術+level Iリンパ節郭清術を施行.術後の病理組織診断では癌の遺残は認めず,T1N0M0=StageIと診断された.残存乳房に対する放射線治療50Gy施行後,2年間のLH-RHおよび5年間のTamoxifen投与を受けていた.初回手術から4年後に左乳頭より多孔性に黄色の分泌物を認めていた.分泌物の細胞診はClassII.画像診断でも明らかな異常所見がないため,定期的に経過を観察されていた.初回手術より10年目の乳房超音波検査で,左乳房C領域に直径12mm,辺縁不整な低エコー腫瘤を認めた.マンモグラフィ検査および視触診では明らかな異常は認めなかった.造影MRI検査では同部に造影効果のある腫瘤として描出された.超音波ガイド下に針生検を施行したところ浸潤性乳管癌(充実腺管癌,ER陽性,PgR陽性,HER-2陰性,Ki-67: 50%)と診断された.全身検索を施行したところ他臓器転移は認めなかった.乳房円状部分切除術+センチネルリンパ節生検術を施行.術後経過良好であり,合併症なく第5病日に退院した.病理組織診断は浸潤性乳管癌(Neuroendocrine carcinoma),ER陽性,PgR陽性,HER-2陰性,Ki-67: 50%,synaptophysin陽性,chromogranin A陽性,CD56陽性,n(-),切除断端陰性,T1N0M0=StageIと診断された.
本症例はガイドラインの推奨する術後の定期検査のみでは発見できず,病変の発見には超音波検査が有用であった.異時性の多発癌においてNeoruendocrine carcinomaの報告例は少ない.若干の文献的考察を加えて報告する.