Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
乳腺

(S829)

超音波検査所見と手術病理結果で診断に乖離がみられた嚢胞内腫瘤2例の検討

Two cases of intra-cystic tumors different diagnosis from ultrasonographic findings and pathological findings

安達 慶太, 櫻井 健一, 鈴木 周平, 原 由起子, 長島 沙樹, 増尾 有紀, 和賀 瑛子, 飯塚 美紗都, 平野 智寛, 榎本 克久

Keita ADACHI, Kennichi SAKURAI, Shuuhei SUZUKI, Yukiko HARA, Saki NAGASHIMA, Yuki MASUO, Eiko WAGA, Misato IIZUKA, Tomohiro HIRANO, Katsuhisa ENOMOTO

日本大学医学部乳腺内分泌外科

Breast and Endocrine Surgery, Nihon University

キーワード :

【はじめに】
超音波検査にて嚢胞の内部に充実性部分が認められる嚢胞内腫瘤では,主に乳管内乳頭腫と嚢胞内癌が鑑別として挙げられる.好発年齢や超音波検査における充実性部分の形状の評価,カラードプラ法による血流形態・分布などが両者の主な鑑別点として挙げられるが,良悪性の鑑別が困難なことも多い.今回,超音波検査所見と手術病理結果で診断に乖離がみられた嚢胞内腫瘤2例につき報告する.
【症例1】
49歳女性,左乳房腫瘤を主訴に来院.視触診で左乳頭下方に腫瘤を触知.超音波検査で左乳房ABE領域に拡張乳管内に突出する23mm大の充実性腫瘤を認めた.嚢胞の大部分を占める充実性部分は不整形で,カラードプラ法で多方向から流入する豊富な血流信号が描出された.嚢胞内癌を第一に考え,カテゴリー4と判定.充実性部分に対し針生検を施行し,乳管内乳頭腫の診断であった.その後腫瘤の増大(40mm)および液面形成を認めたため,悪性を疑い,再度針生検を施行するも同診断であった.造影MRI検査では左乳頭直下に複数の嚢胞性病変を認め,Time Intensity Curveで悪性パターンを示す不整形造影効果を認めた.画像所見では悪性が強く疑われたため,腫瘤摘出術を施行.手術検体においても同診断で,悪性所見は認めなかった.
【症例2】
51歳女性,右乳頭血性分泌を主訴に来院.乳頭分泌物は擦過細胞診にてclassⅡであった.超音波検査で右乳房B領域に8mm大の腫瘤を認め,吸引式組織生検にて乳腺症の診断.その後も血性乳頭分泌が持続したため,乳管腺葉区域切除術を施行,乳管内乳頭腫の診断であった.術後2年の超音波検査にて同領域に新たに15mm大の嚢胞内腫瘤の出現を認めた.充実性部分の立ち上がりは急峻かつ乳頭状であり,嚢胞外への明らかな浸潤所見は認めなかった.カラードプラ法では1本の流入血流を認めた.乳管内乳頭腫を第一に考え,カテゴリー3と判定.充実性部分に対し穿刺吸引細胞診を施行するもclassⅢAと良悪性の鑑別困難であり,吸引式組織生検にて浸潤性乳癌の診断となった.手術を施行し,adenomyoepithelioma with carcinomaの最終診断を得た.
【考察】
共に50歳前後の女性で,嚢胞内腫瘤を認めた2例であった.嚢胞内腫瘤の鑑別において超音波検査は有用であるが,悪性を疑う所見として,不整で広基性な充実性部分の形状,嚢胞内の隔壁形成,液面形成,壁外浸潤所見,カラードプラ法での複数の流入血流などが挙げられる.症例1の超音波検査所見では,上記の悪性を疑う所見を複数満たしており嚢胞内癌を強く疑ったが,手術検体で悪性所見は認めず,乳管内乳頭腫の診断であった.一方,急峻に立ち上がる乳頭状の充実性部分やカラードプラ法での1本の流入血流は一般的に良性が示唆される.症例2では年齢,主訴および超音波所見から乳管内乳頭腫を疑った.超音波検査所見上,明らかな壁外浸潤も指摘できず悪性所見は乏しかったが,実際には浸潤性乳癌であった.
【結語】
超音波検査所見と手術病理結果で診断に乖離がみられた嚢胞内腫瘤2例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.