Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
乳腺

(S828)

授乳性腺種の一例

A case of lactating adenoma

中村 真実子1, 木川 雄一郎2, 杤尾 人司1, 岩崎 信広1, 橋本 一樹2, 加藤 大典2, 今井 幸弘3, 簑輪 和士1

Mamiko NAKAMURA1, Yuichiro KIKAWA2, Hitoshi TOCHIO1, Nobuhiro IWASAKI1, Kazuki HASHIMOTO2, Hironori KATO2, Yukihiro IMAI3, Kazushi MINOWA1

1神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部, 2神戸市立医療センター中央市民病院乳腺外科, 3神戸市立医療センター中央市民病院臨床病理科

1Clinical Laboratory, Kobe City Medical Center General Hospital, 2Breast Surgery, Kobe City Medical Center General Hospital, 3Clinical Pathology, Kobe City Medical Center General Hospital

キーワード :

授乳性腺腫の発生頻度は乳腺良性腫瘍全体の0.14%と極めてまれである.今回,妊娠後期から増大した授乳性腺腫の1例を経験したので報告する.
症例は37歳,女性.妊娠後期より左乳房の腫瘤を自覚し,徐々に増大傾向であった.出産後も腫瘤が縮小せず,産後1か月目に当院を受診した.触診では,左B領域に6cm大の可動性良好な腫瘤を触知し,マンモグラフィで左L・I領域に境界明瞭平滑な腫瘤を認めた.乳腺超音波検査では,同部位に7.0×3.3cm大の分葉形の腫瘤を認めた.境界部は明瞭平滑,内部エコーは低エコーと高エコーが混在し不均一で,一部スリット状の無エコー域が描出された.また,カラードプラでは腫瘤内にカラーシグナルが観察され,後方エコーは増強していた.続いて施行した針生検では腫瘍性の病変を認めず,確定診断には至らなかった.しかしながら,以上の画像所見より葉状腫瘍を否定できないため,診断的治療目的に約5mmのマージンをつけて腫瘍摘出術を施行した.
摘出標本の病理所見では,胞体内に空胞を認める分泌型の上皮が拡張した小葉,乳管を構成し,分葉状を呈しており授乳性腺腫と診断された.
妊娠・授乳期に増大する乳房腫瘤には,授乳性腺腫のほかに葉状腫瘍,嚢胞,線維腺腫,膿瘍,乳腺炎,乳瘤,乳癌などが挙げられる.本症例では葉状腫瘍に類似した超音波像を呈しており術前診断は困難で,文献的にも手術後に診断される例が大部分であった.授乳性腺腫の超音波検査所見は境界部明瞭平滑,形状は楕円形や分葉形,内部エコーレベルは低から高と様々であり,特徴的な所見がないために超音波画像から診断をするのは困難だが,妊娠・授乳期の乳腺腫瘤を検査する際には授乳性腺腫も念頭に置く必要がある.