Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
消化器 消化管:良性

(S822)

術前に超音波検査を施行した鼠径ヘルニア偽還納の1例

A case of reduction en masse of inguinal hernia:US finding

渡辺 あずさ1, 椎貝 真成1, 齋田 司2, 阿竹 茂3, 木内 岳3, 星合 壮大4

Azusa WATANABE1, Masanari SHIIGAI1, Tsukasa SAIDA2, Shigeru ATAKE3, Gaku KIUCHI3, Sodai HOSHIAI4

1筑波メディカルセンター病院放射線科, 2筑波大学附属病院放射線診断・IVR科, 3筑波メディカルセンター病院救急診療科, 4茨城県立中央病院放射線科

1Department of Radiology, Tsukuba Medical Center Hospital, 2Department of Diagnostic and Interventional Radiology, University of Tsukuba Hospital, 3Department of Emergency, Tsukuba Medical Center Hospital, 4Department of Radiology, Ibaraki Prefectural Central Hospital

キーワード :

【背景】
鼠径ヘルニア偽還納は,用手還納後も腹膜に腸管が嵌頓した状態が残存する,まれな病態である.早期の外科的治療が必要だが,診断に苦慮する場合もあると考えられる.今回われわれは術前に鼠径ヘルニア偽還納と診断できた症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
【症例】
67歳男性.10年前から左鼠径ヘルニアがあり自己還納していた.左下腹部の疼痛と膨隆を主訴に当院を受診し,鼠径ヘルニアと診断された.用手還納により膨隆は消失し疼痛も改善したが,腸閉塞の症状が持続していた.用手還納後のCT,腹部超音波検査で,closed loopの残存があり,鼠径ヘルニア偽還納と判断した.同日,緊急手術を施行し,左鼠径部の腹膜に孔があり小腸が嵌頓していることが確認された.小腸嵌頓を解除し,左鼠径ヘルニア根治術を行った.
【考察】
用手還納後も腸閉塞が改善しない場合には,鼠径ヘルニア偽還納も考慮する必要がある.超音波検査は用手還納直後に簡便に施行でき,鼠径部に残存するclosed loopの証明が,診断の一助になると考える.