Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
消化器 消化管:良性

(S820)

消化管重複症3小児例の検討

3 cases of gastrointestinal duplication

藤井 喜充1, 神田 枝理子1, 辻 章志1, 金子 一成1, 濱田 吉則2

Yoshimitsu FUJII1, Eriko KANDA1, Shoji TSUJI1, Kazunari KANEKO1, Yoshinori HAMADA2

1関西医科大学小児科, 2関西医科大学小児外科

1Pediatrics, Kansai Medical University, 2Pediatric Surgery, Kansai Medical University

キーワード :

小児腹腔内嚢胞の診断においては,被ばくや鎮静の問題でCTとMRIの適応には慎重にならざるを得ないため,超音波検査は成人以上に重要な役割を担っている.由来臓器や内部構造が診断根拠とはならずに診断に苦慮するのは,消化管重複症・メッケル憩室・リンパ管腫・機能性卵胞を含む卵巣嚢腫であるとの報告が多数みられるが,中でも消化管重複症は超音波像の特徴を念頭においた上で検査に臨まなければ,診断は極めて困難である.私達が2012年10月から2015年9月までに経験した診断に苦慮した消化管重複症3小児例の,特徴的な超音波所見を検討したので報告する.
【症例1】
日齢11の女児
他院の胎児超音波で右下腹部に単房性嚢胞を指摘された.当院に紹介入院となった日齢11の超音波では,右腎下方に直径2.0 cmの壁の厚い単房性嚢胞がみられ,層構造は消化管と同様の5層構造が確認された.腎臓・卵巣・消化管との連続性は不明瞭であった.嚢胞内容物はなく,壁在結節も認めなかった.MRIでは診断に至らず,消化管重複症もしくはメッケル憩室の疑いで手術となった.回腸合併切除で嚢胞を摘出した.最終診断は嚢胞型回腸重複症で,正常腸管との交通は認めなかった.
【症例2】
11歳の男児
1.5か月間持続する反復性腹痛にて近医を受診し,超音波検査で腹腔内嚢胞を指摘された.当院初診時の超音波検査で,回腸末端腸間膜側に直径2cmで壁の厚さが3mmの単房性嚢胞を認めた.層構造は消化管と同様の5層構造であり,一部は回腸末端と共通であった.造影CTでは壁に増強効果のある単房性嚢胞であり,回腸重複症の診断で回腸合併切除にて嚢胞を摘出した.最終診断は嚢胞型回腸重複症であり正常腸管との連続性は認めなかった.
【症例3】
日齢6の女児
他院の胎児超音波検査で,右上腹部に単房性嚢胞を指摘された.出生後も変化なく直径2cmで右腎下方に存在したため紹介となった.初診時の超音波検査で,右腎内側,十二指腸前方で,横行結腸上方に直径2cmの,壁構造が消化管と同様の5層構造を有する単房性嚢胞を描出した.最終診断は嚢胞型回腸重複症であり正常腸管との連続性は認めなかった.
【考察】
消化管重複症は口腔内から肛門までのあらゆる部位に発生し,5000から10000例に1人の有病率との報告がある.小腸が最も多く,回腸末端が最も好発する部位である.3症例とも初回検査時は由来臓器や内部構造の特徴を超音波では同定困難であったが共通した特徴として以下の5点がみられた.
①実質臓器と接してはいない
②単房性嚢胞
③嚢胞内容物は点状エコーを少量含む液体が充填している
④壁の5層構造がみられる
⑤蠕動を認めない
特に④と⑤はCTやMRIなど他のモダリティで確認することは不可能であり,③も超音波検査が最も描出能力に優れている.①②の所見もCTやMRIに有意性がみられないことから,消化管重複症は超音波検査で診断すべき疾患であると結論した.