Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
消化器 消化管:良性

(S819)

成人腸重積注腸整復時に超音波下で重積状態を確認し整復を施行できた2例

Two cases that could enforce a confirmed reduction intussusception conditions under ultrasound at the time of adult intussusception enema reduction

坪内 啓正1, 宗本 義則4, 高田 英二1, 徳力 左千男1, 川上 優2, 山城 正司3, 宮山 士朗3, 飯田 善郎4

Hiromasa TSUBOUCHI1, Yoshinori MUNEMOTO4, Eiji TAKADA1, Sachio TOKURIKI1, Masaru KAWAKAMI2, Masashi YAMASHIRO3, Shirou MIYAYAMA3, Yoshirou IIDA4

1福井県済生会病院放射線技術部, 2福井県済生会病院検査部, 3福井県済生会病院放射線科, 4福井県済生会病院外科

1Radiotechnology, Fukui-ken Saiseikai Hospital, 2Clinical Laboratory, Fukui-ken Saiseikai Hospital, 3Radiology, Fukui-ken Saiseikai Hospital, 4Surgery, Fukui-ken Saiseikai Hospital

キーワード :

【はじめに】
腸重積の整復では腸管穿孔等の合併症を誘発する可能性があり,慎重な治療を要する疾患である.今回,大腸癌に起因した成人腸重積2例に対し,高圧注腸整復時に超音波下で重積状態を確認しながら安全に整復を施行したので報告する.
【症例1】
49歳,女性.便秘と血便を主訴に,近医を受診し大腸癌を指摘され,当院紹介となった.大腸内視鏡検査では,腫瘍基部の周囲粘膜が発赤し重積状態であった.送気しても整復はできなかった.腹部造影CT検査で下行結腸に隆起性病変を認めた.単純CTでは腫瘍を先進部とした重積を認めたが,造影早期相では自然に解除されていた.平衡相は再び重積を起こしていた.蠕動により重積,自然解除を繰り返している状態であった.注腸施行直前に超音波で重積の有無を確認した.左側腹部に長軸像にてPseudokidney signを示す全周性壁肥厚を認めたが,腸重積に特徴的な所見は認めず,自然解除されたと判断した.注腸X線検査で下行結腸に全周性の狭窄を認め,検査後合併症は認めなかった.左半結腸手術を施行し,肉眼的には下行結腸に4×3.2cm大の1型腫瘍を認め,組織学的には中分化から高分化腺癌で筋層深層部に浸潤を認めた.
【症例2】
56歳女性.血便を主訴に近医を受診し,大腸癌を指摘され,当院紹介となった.腹部造影CT検査においてS状結腸部に腫瘍を認め,陥入した腸管と腸間膜脂肪織や血管が認められた.注腸整復直前に超音波で重積の状態を確認した.下行結腸にpseudokidney signを示す低エコーの腫瘤様陰影を認めた.腫瘤様陰影の近位側に結腸内に軽度陥入した腸管を認め,陥入部の腸管周囲には高エコーの脂肪層を認めた.重積部には腸管浮腫,腸管内液体貯留,腸管血流障害を認めなかったことから整復可能と判断した.慎重に造影剤を注入し,重積先端部は欠損像として認め,蟹の爪様の陰影欠損が認められた.送気を行うと重積部はSDJ付近まで移動したが,同部で抵抗を示した.さらに体位変換を繰り返し腸管内の空気置換を行うことで重積部は整復された.整復後の合併症は認めなかった.腹腔鏡補助下結腸部分切除術を施行した.肉眼的には下行結腸に6×4.2cm大の潰瘍形成性腫瘍を認め,組織学的には中分化主体の腺癌で漿膜に浸潤を認めた.
【考察】
腸重積では腹部超音波においては,重積部の液体貯留,血流信号消失,口側腸管拡張,腹水を認めた場合は整復不能または手術を考慮することが報告されている1).腸重積整復時の合併症を防ぐ為には整復時その場で超音波検査を施行し,重積の状態をリアルタイムに判断することが重要だと考える.
【結語】
高圧注腸による腸重積症例の整復を施行する際,超音波検査で事前に重積状態を確認することがリスク低減の一助となると考える.
【参考文献】
1)Del-pozo G et al: intussusception:traped peritoneal fluid detected with US;relationship to reductability and ischemia.Radiology 1996;201:379-83.