Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
消化器 消化管:悪性

(S816)

超音波検査にて空腸病変の評価が可能であった多発節外性悪性リンパ腫の一例

A case of multifocal extranodal malignant lymphoma that the jejunum was evaluated by ultrasonography

中村 雅美1, 金 浩敏2, 位藤 俊一2, 飯干 泰彦2, 山村 憲幸2, 西谷 暁子2, 今里 光伸2, 新谷 紘史2, 伊豆蔵 正明2, 今北 正美3

Masami NAKAMURA1, Hirotoshi KIN2, Toshikazu ITOU2, Yasuhiko IIBOSHI2, Noriyuki YAMAMURA2, Akiko NISHITANI2, Mitunobu IMAZATO2, Hiroshi SHINTANI2, Masaaki IZUKURA2, Masami IMAKITA3

1地方独立行政法人りんくう総合医療センター検査科, 2地方独立行政法人りんくう総合医療センター外科, 3地方独立行政法人りんくう総合医療センター病理部

1Department of Clinical Laboatory, Rinku General Medical Center, 2Department of Surgery, Rinku General Medical Center, 3Department of Pathology, Rinku General Medical Center

キーワード :

【はじめに】
小腸悪性リンパ腫は全消化管悪性腫瘍のうち比較的稀な疾患で,回腸に多いとされる.今回消化器症状が契機となった多発節外性悪性リンパ腫を経験したので報告する
【症例】
79歳,男性
【主訴】
嘔気
【既往歴】
高血圧,高脂血症,狭心症
【現病歴】
2014年12月に便潜血陽性のため他院にて下部消化管内視鏡を施行されたが異常所見は認められなかった.数日前より嘔気出現し救急外来受診しイレウスの診断によりイレウスチューブ挿入.
【検査所見】
RBC 291×104/μl,Hb 8.9g/dl,P-AMY 71U/ml,CRP 1.8g/dl,LDH 221U/ml,IL-Ⅱ567U/ml
【超音波所見】
左季肋下に約5cmにわたり全周性壁肥厚を伴う空腸を認めた.壁構造は消失し,蠕動は乏しい印象であった.壁肥厚部より口側腸管は軽度浮腫を認めた.カラ−ドプラ法では腫瘤内のカラーシグナルは乏しい像であった.膵体部から尾部に15,27mmの境界不明瞭な低エコー腫瘤を認めた.脾臓に6×4cmの境界明瞭,内部不均一な低エコ-腫瘤を認めた.脾臓にはほかにも不明瞭な低エコー領域を認めた.右腎門部内側に不明瞭な高エコー領域を認め,尿管は軽度拡張し軽度水腎症を呈していた.
【CT所見】
胃〜上部小腸の腸管拡張と内部液貯留を認め,左下腹部の壁肥厚部位にまで及び通過障害を伴う小腸腫瘍を疑った.膵体部と尾部にlow density massを認めた.脾臓には中心部で不整形非濃染を認める5cmの境界明瞭なlow density massと境界不明瞭な腫瘤を認めた.造影にていずれも辺縁が緩徐に造影された.右腎門部と下大静脈間には脂肪織の混濁を認めた.
【PET-CT所見】
小腸,胃,脾臓,右腎背側,右大腿骨にFDGの集積を認めた.
【上部消化管内視鏡】
胃体上部前壁,胃体中部大弯後壁に潰瘍を伴う耳介様の腫瘤を認めた.
【小腸内視鏡検査】
空腸に全周性の腫瘤を認め内側の周堤は隆起状でスコープの通過は困難であった.胃,小腸の生検の組織所見は悪性リンパ腫であった.
【骨髄検査所見】
明らかな異常細胞は認められなかった.
【手術所見】
単孔式腹腔鏡下小腸部分切除術を施行.明らかな播種性病変や腹水は認めず.
トライツ靭帯より約100cmのところに腫瘤性病変を認めた.
【病理組織所見】
大型のリンパ球様細胞がびまん性に増生し,小腸壁を置換.腸間膜にも波及し,壊死も認められた.D20,CD79a,CD10,bcl-2,bcl-6(+).びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断した.
【考察】
小腸悪性腫瘍は消化管悪性腫瘍の1〜5%と稀な疾患であるが,小腸悪性腫瘍の中で悪性リンパ腫は30〜49%を占め小腸癌,平滑筋肉腫,小腸GISTとの鑑別が重要となる.悪性リンパ腫は平均年齢56〜61歳に好発し,男女比2:1と男性に多いとされる.好発部位は回腸末端部でバウヒン弁より口側40〜50cm以内のものが約59〜87%を占め,空腸に生じた報告は27〜36%と報告されている.本症例では空腸の肥厚による通過障害によりイレウス症状として嘔気が出現し輪状狭窄をきたす小腸癌との鑑別を要した.USでは空腸にエコー輝度のきわめて低い全周性肥厚を認め悪性リンパ腫を疑った.本症は節性病変に乏しく骨髄内にも腫瘍は認められず,節外性には多発する病変が認められた.消化管悪性リンパ腫は近年Lewinの基準が適応され,病変の主体が消化管に存在すれば病期にかかわらず腸管原発とみなされる.消化器症状を契機に発見され,多発した節外性悪性リンパ腫の1症例と考え報告する.