Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
消化器 肝腫瘍②

(S807)

胆管拡張を伴った肝右葉嚢胞の2例

Hepatic right lobe cysts associated with biliary dilatation:report of two cases

泉谷 千穂1, 森 和泉1, 前田 有希未1, 藤沢 一哉2, 石田 秀明3, 長沼 裕子4, 大山 葉子5

Chiho IZUMITANI1, Izumi MORI1, Yukimi MAEDA1, Kazuya FUJISAWA2, Hideaki ISHIDA3, Hiroko NAGANUMA4, Yoko OHYAMA5

1桜ヶ丘中央病院検査科, 2津田沼中央総合病院検査科, 3秋田赤十字病院超音波センター, 4市立横手病院消化器科, 5秋田組合総合病院臨床検査科

1Department of Clinical Laboratory, Sakuragaoka Central Hospital, 2Department of Clinical Laboratory, Tsudanuma Central General Hospital, 3Department of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 4Department of Gastroenterology, Yokote Municipal Hospital, 5Department of Medical Laboratory, Akita Kumiai General Hospital

キーワード :

【はじめに】
我々は,過去の超音波医学会で胆管拡張を伴った肝嚢胞例の報告をしてきた.その時の主旨として,a)嚢胞がS4(左葉内側区)の場合が多数を占めること,b)嚢胞径は4cm程度の場合が多いこと,c)拡張胆管はB2,B3のことが多いこと,d)無症状で肝機能異常を来すこともないこと,などを報告してきた.今回,我々は,その時経験の無かった肝右葉の嚢胞による胆管拡張例を2例経験したので,超音波所見を中心に報告する.さらに,過去の報告のあった肝左葉嚢胞の場合との差異に関しても若干考察する.
【使用診断装置】
東芝社製:Aplio 300,Aplio 500.超音波造影剤はソナゾイド®(第一三共社)を用い,通常の肝腫瘍の造影方法に準じた.
【症例1】
40歳代女性.数ヶ月前から腹部膨満感と吐気を自覚し当院受診.超音波上,a)肝右葉S5を首座とした16×16cmの巨大な嚢胞を認めた,b)嚢胞内部には微細点状高エコーが密に認められ,それは嚢胞全体にほぼ均一に分布していた,c)嚢胞周囲の脈管は圧迫されていたが血流は保たれていた,d)肝右葉全体にかけて,嚢胞周囲に微細拡張胆管が認められた,e)左葉胆管の拡張はみられなかった.CTやMR検査でもほぼ同様の結果であったが嚢胞内部の点状エコーと一致する所見は得られなかった.なお,生化学データでは軽度の肝機能異常がみられる程度であった.総合的に,嚢胞内部の点状エコーはコレステロール結晶によるもので,嚢胞には悪性所見はみられないが,嚢胞径が十分大きく症状も存在することから嚢胞開窓術を施行した.嚢胞壁は僅かに変性している程度で炎症や悪性所見は認められなかった.なお内容液は黄色でコレステロール結晶が多数認められるも出血や感染は認められなかった.術後経過順調で現在外来で経過観察中.
【症例2】
60歳代女性.腹部膨満感を主訴に来院.超音波上,a)肝右葉全体を占める14×15cmの巨大な嚢胞を認めた,b)肝右葉全体にかけて,嚢胞周囲に微細拡張胆管が認められた,c)左葉胆管の拡張はみられなかった.短期間に症状改善したため現在外来で経過観察中.
外来で経過観察中に症状も軽快し,このまま様子をみることとした.
【考察】
肝嚢胞の合併症として感染や出血が挙げられてきたが胆管拡張に関しては低頻度であり臨床的に余り問題となることも少ないため触れられてこなかった.しかし,嚢胞ドレナージなどの場合には合併症が想定されるためやはりしっかりした認識は必要な所見と思われる.過去の肝左葉嚢胞に伴う胆管拡張例と異なり,嚢胞径が巨大で拡張胆管が微細多数である等の差異がみられるが,これは,左葉と右葉では周囲からの圧迫による胆管の拡張のしやすさが異なる事が考えられるが,これに関してはさらなる症例の集積が必要である.なお,嚢胞内容液に関しては,症例1にみられた様に,点状エコーの意味付けがしばしば問題となるが,出血と異なり,微細点状高エコーが密に認められ,それは嚢胞全体にほぼ均一に分布しており,これがコレステロール結晶を示していたことが証明された.出血との鑑別上注目に値すると思われた.