Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器⑧

(S799)

CHADS2スコアで判定したNOAC服用下に左心耳内血栓が発見された2症例

Two cases of left atrial thrombus under CHADS2-determined administration of NOAC

南雲 美也子1, 岩永 史郎2, 徳田 華子1, 松村 圭祐1, 片山 隆晴1, 酒井 哲郎3, 鈴木 雅裕1

Miyako NAGUMO1, Shiro IWANAGA2, Hanako TOKUDA1, Keisuke MATSUMURA1, Takaharu KATAYAMA1, Tetsurou SAKAI3, Masahiro SUZUKI1

1国立病院機構埼玉病院循環器科, 2埼玉医科大学国際医療センター心臓内科, 3日本鋼管病院循環器内科

1Department of Cardiology, National Hospital Organization Saitama National Hospiatl, 2Department of Cardiology, Saitama Medical University International Medical Center, 3Department of Cardiology, Nippon Koukan Hospital

キーワード :

【はじめに】
心房細動(af)では,心原性塞栓症が生命予後を規定する重要な因子である.昨今,非弁膜症性afに,CHADS2スコアでリスクを判別し,NOACを投与して脳塞栓症を予防するようになった.NOACは,食事制限や採血によるモニタリングの煩雑性がなく,ワルファリンと同等の脳梗塞予防効果があり,脳出血の合併も少ないと報告されている.脳塞栓発症リスクを層別化するCHADS2スコアは,血栓形成の主因であるaf時の左房機能を評価するものではない.今回,CHADS2スコアに基づいてNOACが投与されたaf患者で,左心耳内血栓を認めた2例を報告する.
【症例】
症例1:59歳男性.心房粗動で,高血圧と糖尿病の既往がありCHADS2は2点であった.弁膜症,器質的心疾患は認めず,NOAC(アピキサバン10mg/day)を服用している.心房粗動アブレーション前に,経食道心エコー検査(TEE)が施行され,左心耳(LAA)内に血栓様エコーを認めた.
症例2:49歳男性.2年前にafを指摘され,CHADS2スコアは0点であった.塞栓症リスク評価のため経胸壁心エコー検査(TTE)を受け,LAA内に血栓が発見された.ヘパリンを10日間投与し,TTEで血栓の消失を確認した.その後,NOAC(ダビガトラン300mg/day)を開始した.今回,頻脈性afによる心不全で入院し,TTEで再び左心耳内血栓が発見された.いずれの症例もTEEで計測した左心耳血流速度は,20cm/s以下と著明に低下していた.
【まとめ】
適切な量のNOACを服用中であったがLAA内に血栓が形成された2症例を提示した.CHADS2スコアのみで,脳塞栓発症のリスクを判別することの危険性が明らかとなった.塞栓症のリスク評価には,症例ごとに左房機能を評価する必要があると考えた.