Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器⑦

(S796)

完全房室ブロックと石灰化を伴った左室緻密化障害の一例

Calcified Left Ventricular Noncompaction With Complete Atrioventricular Block

三角 郁夫1, 本多 剛1, 西方 奈緒子2, 佃 孝治2, 高倉 彩2, 別府 麻美2, 清田 千草2, 西原 孝治2

Ikuo MISUMI1, Tsuyoshi HONDA1, Naoko NISHIKATA2, Kouji TSUKUDA2, Aya TAKAKURA2, Asami BEPPU2, Chigusa KIYOTA2, Kouji NISHIHARA2

1国立病院機構熊本再春荘病院循環器科, 2国立病院機構熊本再春荘病院臨床検査科

1Cardiology, Kumamoto Saishunsou Hospital, 2Clinical Laboratory, Kumamoto Saishunsou Hospital

キーワード :

【はじめに】
左室心筋緻密化障害は,過剰な網目状の肉柱形成と深い間隙を形態的特徴とする疾患であり,胎生期に粗な心内膜心筋が緻密な心筋構造になっていく過程が障害されることで生じるとされる.今回我々は,左室緻密化障害に完全房室ブロックと石灰化を伴った症例を経験した.
【症例】
82才,男性.畑仕事中にふらつきやめまいが出現するため近医を受診.ホルター心電図にて完全房室ブロックを認め当科紹介となった.既往に胸膜炎がある.身体所見では,血圧177/68 mmHg,脈拍48/分,整.肺野:清,心音:正常.下肢浮腫なし.採血では,BNP高値(328.3 pg/mL)を認めた.12誘導心電図では,洞性徐脈を認めた.ホルター心電図では完全房室ブロックを認めた.胸部×線写真では,CTR 52%であった.胸部CTでは,胸膜,僧帽弁輪部,左室心尖部の石灰化と,左室緻密化障害を認めた.経胸壁心エコーでは,左室拡大や肥大はなく,壁運動も正常であったが,CTと同様に左室心尖部に石灰化を伴う網目状の肉柱形成と深い間隙を認めた.徐脈に対し,ペースメーカー植え込みを行い,特に合併症なく退院となった.
【考察】
左室緻密化障害に完全房室ブロックや石灰化を伴うという報告は少なく,貴重な症例と考え報告した.