Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器⑦

(S795)

感染性心内膜炎診断における心エコー図検査の有用性の検討

Usefulness of echocardiographic examination for infectious endocarditis

原 信博

Nobuhiro HARA

武蔵野赤十字病院循環器科

Department of Cardiology, Musashino Red Cross Hospital

キーワード :

【背景】
感染性心内膜炎は適切な治療が奏功しないと多くの合併症を引き起こし,死に至ることもある重篤な疾患である.経胸壁心エコー図は,疣腫の診断において,非侵襲的でしかも特異度が極めて高い検査法であるが,検出感度は十分とは言えず,時として診断に難渋するケースがある.また,人工弁感染においては,人工弁によるアーチファクトのため,疣腫の検出については,自己弁の感染に比べて難しい.経胸壁心エコー図のみでは不十分であり経食道心エコー図が必要となるが,経食道心エコー図は侵襲的で重大な合併症が生じることもある.当院では感染症専門医が常勤し,敗血症の診断治療に熱心であり,経食道心エコー図の依頼も多い.
【目的】
敗血症患者(血液培養陽性)に経食道心エコー図検査を施行した症例で,感染性心内膜炎における診断方法としての経食道心エコー図に関して検討する.
【対象,方法】
2012年1月から2014年8月までの期間,血液培養で敗血症と診断された患者で,感染性心内膜炎を疑われ経食道心エコー図を施行した88例を対象とした.これらの患者で身体所見(眼所見,四肢塞栓所見),画像検査(頭部CT,MRI,全身CT),心エコー図を後ろ向きに検討した.感染性心内膜炎の診断については,Duke臨床的診断基準とした.
【結果】
年齢68±16歳,男性53例,女性35例.感染性心内膜炎と診断された症例は19例であった.そのうち3例は人工弁感染であった.経胸壁心エコー図では軽度以上の弁膜症は17例検出したが,疣腫の検出されたのはわずか3例のみであった.感染性心内膜炎と診断された症例で,身体所見(眼所見,四肢塞栓所見),画像検査(頭部CT,MRI,全身CT)がすべて陰性である症例は認めなかった.
【結論】
経胸壁心エコー図は感染性心内膜炎診断に十分ではなかった.経食道心エコー図は感染性心内膜炎診断,治療に重要な役割を果たすが,侵襲的な検査であり,安易に検査を施行すべきでない症例がある.丹念な身体所見や比較的侵襲の少ない画像検査が重要であった.