Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器⑥

(S792)

Marfan症候群にて妊娠中に大動脈弁輪拡張症の増悪及び大動脈解離を合併した一例

An example of the complication of the exacerbation and aortic dissection of the annulo-aortic ectasia during pregnancy with Marfan syndrome

菅原 里恵1, 石川 弥生1, 本多 勇晴1, 石光 俊彦1, 今野 佐智代2, 高瀬 直敏2, 江尻 夏樹2, 川又 美咲2

Rie SUGAWARA1, Yayoi ISHIKAWA1, Takeaki HONDA1, Toshihiko ISHIMITSU1, Sachiyo KONNO2, Naotoshi TAKASE2, Natsuki EJIRI2, Misaki KAWAMATA2

1獨協医科大学病院循環器・腎臓内科, 2獨協医科大学病院超音波センター

1Cardiovascular and Nephrology, Dokkyo Medical University, 2Ultrasonic Center, Dokkyo Medical University

キーワード :

症例は29歳女性.小児期にMarfan症候群の診断を受け,近医にて外来通院となるも自己中断されていた.29歳時に妊娠を機に心精査し,心エコー図検査にてValsalva洞:62mm・STJ径:57mmと著明な大動脈弁輪拡大および中等度から重度の大動脈弁逆流(AR)および腹腔動脈解離を認めた.腹腔動脈解離は保存的加療とし,AAEは手術適応の判断にてDavid手術予定とし,人工妊娠中絶予定とするも強い挙児希望にて妊娠継続のまま平成25年9月17日David手術を施行.しかしながら術中子宮内胎児死亡(IUFD)に至った.
5か月後(平成26年2月),突然の背部痛を認め造影CTの結果,左鎖骨下動脈分岐下より気管分岐部までの偽腔開存型の急性大動脈解離(DeBakeyⅢa)を発症.臓器障害を認めず,降圧加療による保存的加療となった.さらに3か月後(平成26年5月),突然の胸痛を主訴に近医へ救急搬送となった.急性心不全の診断で入院加療となり,心エコー図検査および造影CT検査にて左房内腫瘤を認め,心内血栓または心臓腫瘍疑いにて当院へ転院となった.当院にて施行した経食道超音波検査(TEE)にて左心耳に13*28mmの腫瘤を認めた.血液検査の結果,Dダイマー:0.6μg/mlと正常値であるも左房内血栓の可能性が強く示唆され,抗凝固療法を開始した.約1か月後のTEEにて左心耳の腫瘤は10*16mmと縮小を認め,明らかな塞栓所見は認めなかった.さらにDavid手術後trivialであったARがsevereと進行を認めたため,平成26年7月31日大動脈弁置換術および左心耳閉鎖術を施行.Marfan症候群では心血管合併症も多く,本症例のように短期間で再手術や急性大動脈解離を生じる症例もみられる.また若年女性の患者の場合挙児希望もあり,手術時期や術式に関しても判断が非常に難しい場合もある.このような基礎疾患がある背景では頻回の心エコー図検査にて評価する重要性が示唆された一例であった.