Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器⑤

(S789)

心房中隔二次孔欠損術後の遠隔期に再発・右心不全増悪を認め,再手術を行なった一例

A case of patient presented with relapse of atrial septal defect and right ventricular failure, and needed second surgery and tricuspid annulo-plasty

本多 洋介1, 荒木 基晴1, 伊藤 良明1, 平野 敬典1, 山脇 理弘1, 滝村 英幸1, 高藤 広弥1, 伊藤 努2, 飯田 泰功2, 林 祥子2

Yohsuke HONDA1, Motoharu ARAKI1, Yoshiaki ITOU1, Keisuke HIRANO1, Masahiro YAMAWAKI1, Hideyuki TAKIMURA1, Hiroya TAKAFUJI1, Tsutomu ITO2, Yasunori IIDA2, Satiko HAYASHI2

1済生会横浜市東部病院循環器内科, 2済生会横浜市東部病院心臓外科

1Division of Cardiology, Saiseikai Yokohama City Eastern Hospital, 2Division of Cardiovascular Surgery, Saiseikai Yokohama City Eastern Hospital

キーワード :

症例は75歳男性.1988年に心房中隔二次孔欠損に対して他院にて直接閉鎖術を行なった.2005年には心原性小脳梗塞を発症し,他院で入院加療を行なった.2015年頃より労作時の息切れの増悪を認め,当院受診の運びとなった.心電図は心房細動調律で完全右脚ブロックの所見であった.経胸壁心臓超音波検査上,15.2mmの心房中隔欠損・右室の明らかな拡大を認め,肺体血流比(Qp/Qs)4.1と著名な増加を認めた.また,この時の心臓超音波検査では右左シャントを疑う血流も認めた.心機能に関しては,左室拡張末期径/収縮期径39.7/26.2mm,EF 63.5%と左室収縮能は良好であり,中等度の三尖弁閉鎖不全症を認める以外は明らかな弁膜症は認めなかった.身体所見としては胸水貯留,下腿浮腫・血液学的所見としては肝酵素・NT-pro BNPの上昇を認め,右心不全増悪と判断した.治療としてはカテコラミン・利尿剤(フロセミド・トルバプタン)による薬物加療を行なったところ,心不全の改善を得た.心不全改善後に経食道・胸壁心臓超音波検査で再評価を行なったところ,二次孔欠損と切れた縫合糸を疑う線状の高輝度構造物を認めた.また,右左シャントを疑っていた血流は右室拡大による三尖弁輪拡大から三尖弁閉鎖不全症を来たしており,中隔側に沿った逆流ジェットが二次孔欠損を介して左房内に流入している所見と判断した.心不全を呈していること,Qp/Qs>2であることから手術適応と判断し,心臓血管外科に転科,手術の運びとなった.術中所見では前回閉鎖糸が卵円窩中央部にて切れており,20X16mmの二次孔欠損を呈していた.直接閉鎖では緊張が強くかかると判断されたため,パッチ閉鎖術を行い,30mmのエドワーズMC3人工弁輪にて三尖弁輪形成術を施行した.術後経過は問題なく,心不全再燃も無く,外来通院を継続している.心房中隔二次孔欠損術後の遠隔期に再発・右心不全増悪を認め,心房中隔欠損に対するパッチ閉鎖術・三尖弁輪形成術を行なった一例を経験したので報告する.