Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器③

(S783)

急激な転帰をとった左房intimal sarcomaの一例

A case of intimal sarcoma with sudden result

四方 典裕1, 大仲 玄明2

Norihiro SHIKATA1, Motoaki OHNAKA2

1京都保健会京都民医連中央病院救急科, 2三菱京都病院心臓血管外科

1Emergency Room, Kyoto Min-ren Chuo Hospital, 2Cardiovascular Surgery, Mitsubishi Kyoto Hospital

キーワード :

【目的】
心臓悪性腫瘍は心臓腫瘍の約25%を占め,その中でintimal sarcomaは極めてまれで,また大血管以外の心腔内に発生することも珍しい.今回急激な転帰をとった左房intimal sarcoma症例を経験したため報告する.
【対象】
【方法】
症 例:65歳男性
主 訴:息切れ
現病歴:生来健康.来院約一か月前から軽労作での息切れを自覚するようになった.症状が徐々に増悪傾向となり,来院2日前から同症状はさらに強くみとめられるようになったため,当院受診.胸部単純レントゲンにて両側胸水貯留をみとめたため,心不全疑いにて心臓超音波検査を施行.左房内に巨大腫瘤の形成をみとめた.左房からの左室への流入障害および血栓・塞栓症のリスクが高いと考え,心臓血管外科のある施設へ転院となった.同病院にて準緊急手術が施行され,腫瘤の摘出および僧帽弁置換術が施行された.術直後から泡沫状痰の噴出が持続し,血中酸素濃度の維持が極めて困難の状態が持続した.その後も呼吸不全の改善は認められず,術後1週間目に永眠された.術前から肺の浸潤影がみとめられ,LDHも高値であったことなどから,頻度の多い粘液腫と異なる経過と考えられ,解剖が施行された.他院にて免疫染色など試行され,最終診断はintimal sarcoma of the cardiac left atriumとの診断を得た.
【結論】
intimal sarcomaは大血管,特に肺動脈での発生報告例が多い.今回我々が経験した症例は左房に発生した例で,早期に手術を施行したが,術後に急激な転帰をとった.極めて珍しい経過でもあるため文献的考察を加え報告する.