Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器③

(S782)

右房内に達した子宮原発の静脈内平滑筋肉腫の1症例

1 case of the intravenous smooth muscle sarcoma of the uterus nuclear power generation that reached in the right atrium

古波蔵 美佐喜, 喜舎場 良香, 澤岻 かすみ, 粟国 徳幸, 手登根 稔

Misaki KOHAGURA, Yoshika KISHABA, Kasumi TAKUSHI, Noriyuki AGUNI, Minoru TEDOKON

社会医療法人仁愛会浦添総合病院臨床検査部

Clinical Laboratory, Urasoe General Hospital

キーワード :

【はじめに】
静脈内平滑筋肉腫は非常に稀な疾患である.今回我々は,子宮内静脈から発生した平滑筋肉腫が発育進展し,下大静脈(以下IVC)を経て右心房まで達した症例を経験したので報告する.
【症例】
40歳代女性,2経妊2経産.
【家族歴】
母:SAH
【既往歴】
関節リウマチ,脂質異常症,脂肪肝
【現病歴】
前月より息が吸いにくいとの自覚症状あり.かかりつけ医での腹部エコーでIVC内の血栓を指摘され,精査目的で来院された.
BT36.8℃,BP159/97mmHg,SpO2 99%,下肢痛や呼吸苦の自覚なし.下腿浮腫や圧痛なし.心雑音なし.呼吸音両側清明.
【血液検査】
AST62U/l ALT68U/l LD424U/l WBC9300μl Plt8.5万/μl FDP7.1 TAT12.6 Dダイマー2.5抗カルジオリピン抗体14 ループスアンチコアグラント陰性
【DVTエコー検査】
下肢静脈に血栓は認めず.
【経胸壁心エコー検査】
右房内に可動性のある高輝度エコーを認め,拡張期に右室内へ突出する動きを認めた.多房性で内部不均一,右房内に付着部位を認めずIVCから連続しており,右房原発腫瘍は否定的であった.形状及び内部性状から血栓ではなく,IVCもしくは他静脈由来の腫瘍性病変の可能性が考えられた.心機能は正常域,有意な弁膜症なし.右室負荷所見なし.
【経食道心エコー:以下TEE】
経胸壁エコー同様,多房性で表面平滑な高輝度エコーを認め,IVCから連続していた.可視内で静脈壁との癒着は認めかった.性状から静脈由来の腫瘍性病変が示唆された.
【CT検査】
子宮右側から起始し右卵巣静脈から右内腸骨静脈,IVCを経て右心房へと達する腫瘍様病変を認めた.肺動脈塞栓なし.静脈内平滑筋腫症(以下IVL)もしくは平滑筋肉腫が鑑別に挙げられた.他臓器への転移性病変は認めない.
【経膣エコー検査】
子宮及び卵巣の腫大や腫瘤病変なし.腹水なし.
【子宮膣部スメア細胞診】
クラスⅡ
以上の結果から,集学的治療が必要となり他院へ転院され,腫瘍摘出術が施行された.
【病理組織結果】
静脈内平滑筋肉腫と診断された.
【まとめ】
心臓に達する静脈内平滑筋肉腫は稀であり,経胸壁心エコーで右房内腫瘍や心内血栓として指摘されることも多い.鑑別には付着部位の確認やIVCとの連続性など詳細な観察が重要である.右房内に付着部位を持たない可動性良好な腫瘍がIVCと連続する所見が得られた場合,IVLもしくは平滑筋肉腫を念頭に置いて診断を進める必要がある.
【結語】
本症例は右房内腫瘍や血栓との鑑別を要する症例であった.診断はTEEなども併せて慎重に進める必要があり,画像診断の再確認を行うことで,適切な治療に結びつくと考えられた.