Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器③

(S782)

大動脈弁に付着した多発性乳頭状線維弾性腫の一例

A Case of Multiple Papillary Fibroelastoma of the Aortic Valve

岡芹 朋子1, 鶴田 ひかる2, 団 真紀子1, 羽鳥 泰子1, 岡本 明美1, 板橋 裕史2, 村田 光繁1, 岡本 一真3, 福田 恵一2, 村田 満1

Tomoko OKAZERI1, Hikaru TSURUTA2, Makiko DAN1, Yasuko HATORI1, Akemi OKAMOTO1, Yuji ITABASHI2, Mitsushige MURATA1, Kazuma OKAMOTO3, Keiichi FUKUDA2, Mitsuru MURATA1

1慶應義塾大学病院中央臨床検査部, 2慶應義塾大学病院循環器内科, 3慶應義塾大学病院心臓血管外科

1Department of Laboratory Medicine, Keio University School of Medicine, 2Department of Cardiology, Keio University School of Medicine, 3Department of Cardiovascular Surgery, Keio University School of Medicine

キーワード :

症例は40代女性.既往歴に子宮体癌(術後),筋緊張性ジストロフィーがある.卵管水腫術前に心電図異常を指摘され,経胸壁心エコー図検査を施行し,大動脈弁尖に付着する可動性腫瘤を認めた.経食道心エコー図検査では,大動脈弁3尖すべての先端に,辺縁不整かつ毛羽立ちのある可動性腫瘤を認め,左冠尖については,有茎性の5mm大の球状腫瘤を呈し,さらに顕著な可動性を有する小ひも状腫瘤の付着を認め,全長は12mm大であった.塞栓症リスクのため外科的治療が必要であると判断し,大動脈弁腫瘍摘除術を施行した.病理所見で3尖に付着する腫瘤はすべて乳頭状線維弾性腫と診断された.本例は悪性腫瘍既往があり,鑑別として非細菌性血栓性心内膜炎の疣腫や,多発性であることからランブル疣贅が考えられたが,詳細な病変評価に経食道心エコー図検査が有用であった.乳頭状線維弾性腫は,約8割が心臓の弁組織から発生する良性心臓腫瘍であり,多くが単発性である.また本症に起因する塞栓症や死亡例における検討では,腫瘍の可動性が独立危険因子であると報告される.本例においては,全身疾患合併により周術期リスクに注意が必要な例であったが,可動性を有する多発性腫瘤を呈したため,外科的手術を行い良好な経過を得た.多発性乳頭状線維弾性腫は比較的稀であり,報告する.