Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
循環器 循環器①

(S776)

多発脳梗塞・全身塞栓症を併発し卵円孔に付着した疣贅を認めた感染性心内膜炎症例

A case of infective endocarditis in multiple cerebral infarction and liver, spleen and kidney embolism had vegetation attached to foramen ovale

福岡 裕人, 茅野 博行, 松井 泰樹, 太田 礼, 土至田 勉, 小林 洋一

Hiroto FUKUOKA, Hiroyuki KAYANO, Taiju MATSUI, Rei OOTA, Tsutomu TOSHIDA, Youichi KOBAYASHI

昭和大学内科学講座循環器内科学部門

Department of Medicine Divisoin of Cardiology, Showa University

キーワード :

【背景】
感染性心内膜炎発症の基礎心疾患に卵円孔開存も上げられるが,実際に卵円孔に疣贅が確認された報告はほとんどない.
【症例】
54歳男性.生来健康で医療機関の通院歴はない.2015年11月27日から,38℃台の発熱,下痢,嘔吐を認めていた.11月28日より意識が朦朧としていた.11月30日意識混濁を認め,当院へ救急搬送となった.来院時意識レベルはJCS 200,頭部MRIより多発性脳梗塞を認めた.また全身CTでは肝臓,腎臓,脾臓に梗塞像を認めた.血液検査ではWBC 13300/μl,CRP 20.81mg/dlと炎症反応は高値であり,Plt 4.4万/μl,D-ダイマー23.52μg/mlとDICを起こしていた.全身塞栓症と炎症反応より感染性心内膜炎疑ったが経胸壁心エコー図検査では僧房弁前尖(A1)の逸脱を認め中等度〜高度の僧房弁逆流を認めたが,明らかな疣贅は検出できなかった.経食道心エコー図検査は,僧房弁は逸脱しているが明らかな疣贅は認められなかった.大動脈弁はNCC,RCCの肥厚を認め疣贅を疑う所見を認めた.また卵円孔に付着し浮動性の疣贅(8.4×8.4mm大)を右房側に認めた.明らかなシャント血流は検出されなかった.血液培養検査からはmethicillin-sensitive Staphylococcus aureusが培養され,喀痰培養検査から同菌種が培養された.SBT/ABPC 12g/day,GM 120mg/dayで治療を開始した.GMは2週間で終了し,継続加療中である.経過中心電図でⅡ,Ⅲ,aVf,V5-6でST上昇を認め,心筋逸脱酵素の上昇(CK 1163U/l,トロポニンI 18.48ng/ml)より心筋梗塞も疑われたが,全身状態悪く,血行動態に変化はなく冠動脈造影は行っていない.治療開始後3週間後の経食道心エコー図検査では卵円孔に付着していた疣贅は消失していた.
【まとめ】
三尖弁に付着した疣贅が卵円孔を通り左房,右房を浮遊している報告はあるが,今回我々は左心系に疣贅を認め,かつ右房側の卵円孔に付着している疣贅を確認でき稀な感染性心内膜炎の症例を経験したため報告する.