Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
工学基礎 基礎(治療・生体作用)

(S771)

集束超音波照時における物理パラメータの温度依存性を考慮した温度上昇の解析

Temperature rise simulation in liver caused by focused ultrasound considering temperature dependence of physical parameters

土屋 健伸, 波田野 雄一, 毛利 裕則, 沈 楽辰, 遠藤 信行

Takenobu TSUCHIYA, Yuichi HATANO, Hironori MORI, Lechen SHEN, Nobuyuki ENDOH

神奈川大学工学部電気電子情報工学科

Department of Electrical, Electronics and Information, Faculty of Engineering, Kanagawa University

キーワード :

【緒言】
超音波を利用した診断や治療技術の発展に従い,改めて熱作用に関する研究が注目されている.我々も,ファントム実験と数値シミュレーションの双方から超音波による温度上昇の検討を実施してきた[1,2].一方,音速や減衰係数などの物理パラメータには温度依存性があり,大きな温度上昇時にはパラメータ値の変化が温度上昇に影響を与えると考えられる.本報告では,物理パラメータの温度依存性を考慮したシミュレーションを行い,その影響について報告する.
【方法】
Fig. 1にシミュレーションモデル図を示す.対象領域を1辺90 mmとし,生体軟部組織として肝臓についてFDTD-HCE法[1]で解析を行った.有効駆動直径62 mm,焦点距離50mm(組織中)の集束音源から周波数2 MHzの超音波を照射し,超音波強度ISPTAを18から72 W/cm2まで変化させて解析を行った.物理パラメータの温度依存性は音速と減衰係数のみ考慮し,文献[3]より引用した2次関数で温度依存性を与えた.
【結果】
Fig. 2に超音波強度が72 W/cm2における肝臓内の2次元温度分布を示す.温度上昇分布は,温度依存性を考慮した場合とでほぼ同様であった.温度上昇が最大となる位置である50.2 mmにおいて,温度依存性を考慮した場合の方が0.21℃高くなった.これは,焦点で温度が上昇し,肝臓の減衰定数が増加したことで焦点での発熱量が増加したためと考えられる.Fig. 3に焦点位置での超音波強度に対する温度上昇値の変化を示す.超音波強度が増加するにつれて,温度依存性を考慮した場合とした場合との差が大きくなった.
【結言】
音速と減衰係数の温度依存性を考慮した温度上昇シミュレーションを行い,その影響について報告した.超音波強度が上がることで最大温度上昇値が変化することが確認された.より正確な温度推定をするためには物理パラメータの温度依存性を考慮したシミュレーションが必要である.
【参考文献】
[1]清水他,日超医第26回関東甲信越地方会抄録集,(2014),p.53.
[2]深澤他,日超医第88回学術集会講演論文集,(2015),S498.
[3]S.A Lopez-Haro, et. al. J. Med. Ultrasonics 42,489-498,(2015).