Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
工学基礎 基礎(治療・生体作用)

(S770)

細胞を包含した微小気泡凝集体の超音波照射下での制御持続性の検討

Experimental study to evaluate controllability and sustainability of microbubbles-surrounded cells under ultrasound exposure

桝田 晃司1, 澤口 冬威1, 追立 理喜1, 望月 剛1, 小田 雄介2, 鈴木 亮2, 丸山 一雄2

Kohji MASUDA1, Toi SAWAGUCHI1, Riki OITATE1, Takashi MOCHIZUKI1, Yusuke ODA2, Ryo SUZUKI2, Kazuo MARUYAMA2

1東京農工大学大学院生物システム応用科学府, 2帝京大学薬学部

1Graduate School of BASE, Tokyo Univ. of Agri. & Tech., 2Faculty of Pharma Science, Teikyo Univ.

キーワード :

【目的】
我々は,特別に調製した細胞を患者に注入する免疫細胞療法などに応用するため,細胞の周囲に微小気泡を付着させた凝集体を形成[1]し,音響放射力を利用して細胞を血流中で運搬するための技術を開発している.これまでは,細胞を包含した微小気泡凝集体を形成し,それらが音響放射力によって影響を受けることを確認した.今回は,様々な条件の超音波照射下での制御持続性について報告する.
【対象】
本研究では,マウス由来のColon-26細胞と,それに特異的に付着するトランスフェリンを表面に付着させた微小気泡(バブルリポソーム)を用いている.先行研究[1]と同様の条件で,細胞を包含した微小気泡凝集体を形成した.微小気泡と細胞はそれぞれ別々の波長で励起発光するように染色している.
【方法】
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEGMA)にて成形した微小閉空間に凝集体を含んだ懸濁液を封入し,蛍光顕微鏡にて観察する実験系を構築した.微小閉空間内に対して制御用の超音波を照射し,視野内の凝集体の動態を画像処理により追跡した.図では,中心周波数5MHzで音圧500kPa-ppの正弦波の集束波を右方向から照射したところ,凝集体の超音波の進行方向に押されて移動する軌跡を示している.この場合は照射時間が2secであり,一部の凝集体は閉空間の壁面に到達している.さらに,超音波の連続照射時間を調整し,凝集体が視野内に常に収まるように複数方向から制御用の超音波を照射することによって凝集体の移動距離を計測した.
【結果】
中心周波数7MHz以上では,照射時間が2secを超えると凝集体を動かすことはできなくなった.一方,中心周波数5MHz以下では,6secの照射時間内に最大1.5mm程度の距離を移動させることができた.また今回用いた全ての周波数範囲において,音場内の最大音圧に比例して凝集体の移動距離は長くなった.微小気泡の共振周波数は10MHz以上であることから,高周波数では微小気泡の崩壊が進み,細胞の推進力が低下したと考えられる.
【結論】
本実験により,照射超音波の音圧及び周波数に対する,細胞を包含した微小気泡凝集体の制御持続性を検討した.
【参考文献】
[1]F. Demachi, et al, Jpn. J. Appl. Phys. 54(2015)07HF19