川畑 智拓¹, 濱住 俊太朗², 田川 憲男², 入江 喬介^{2, 3}, 小林 明広⁴, 藤井 康友⁵, 谷口 信行⁶

Tomohiro KAWABATA¹, Shuntaro HAMAZUMI², Norio TAGAWA², Takasuke IRIE^{2, 3}, Akihiro KOBAYASHI⁴, Yasutomo FUJII⁵, Nobuyuki TANIGUCHI⁶

¹首都大学東京システムデザイン学部, ²首都大学東京大学院システムデザイン研究科, ³マイクロソニック株式会社技術開発部, ⁴マイクロデザイン株式会社技術部, ⁵京都大学大学院医学研究科, ⁶自治医科大学臨床検査医学

¹Faculty of System Design, Tokyo Metropolitan University, ²Graduate School of System Design, Tokyo Metropolitan University, ³Research and Development, Microsonic Co. Ltd., ⁴Engineering Division, Micro Design Inc., ⁵Graduate School of Medicine, Kyoto University, ⁶Clinical Laboratory Medicine, Jichi Medical University

キーワード :

【目的】
我々は以前，3次元乳腺画像計測表示システムを開発した［1］［2］．乳房全体の一括画像化を目指し，探触子回転走査器を利用してBモード画像の位置情報を取得した．本研究では臓器を限定しない代わりに，局所的な画像化に限定して，特別な走査器によらずに計測したBモード画像からのボリューム画像生成を検討している．
【方法】
ボリュームデータの生成には，Bモード画像断面（すなわち探触子）の位置と向きが必要である．局所的な計測に限れば向きのみで十分であるため，3軸加速度センサー［3］を探触子に貼付する簡潔な方法を採用する．このセンサーは，IoT無線タグに内蔵されており，センサー出力は連続的に無線送信され，同社のUSB受信器［4］を通してPCで記録される．画像との同時取得システムをLabview上に構築する．このセンサーによる探触子変位の直接計測は，感度的に難しい．一方で，重力加速度は常に計測されるため，センサー座標系における重力加速度の向きから，センサー，すなわち探触子の向きが計測できる．ただし，原理的にZ軸（重力の向き）回りは計測できない．探触子の距離方向を軸とする回転は通常使われないため，探触子の中心部を固定して，探触子の方位方向を軸とする回転とBモード断面に垂直な方向を軸とする回転を検出する．
【結果】
画像との同時計測に先立ち，本センサーの計測精度を評価した．回転板に本センサーを貼りつけ，回転角度毎に，0.1秒間隔で50個の計測データを得た．その平均値を左図に示す．理論値は，一緒に配置したスマートフォンのジャイロセンサーの出力である．右図は，平均誤差分（バイアス）に直線当てはめを行った結果である．
【考察】
角度計測誤差は，設定角度に比例して増えることが確認できた．探触子の煽り角は大きくても30°程度と想定され，その場合の誤差は1°未満である．誤差の分散は角度に依らず，標準偏差で平均0.7°程度であった．今後，この角度誤差が3D画像化に及ぼす影響を評価する必要がある．
文献
［1］S. Ozawa et al. : Development of Ultrasound Breast Imaging System, USE2008; 433-434，2008.
［2］小沢智志，他：乳癌集検用超音波診断装置の開発〜超音波乳腺画像の採取表示システムの検討〜，第82回日超医論文集；S465，2009.
［3］http://mono-wireless.com/jp/products/TWE-Lite-2525A/
［4］http://mono-wireless.com/jp/products/TWE-Lite-USB/