Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
工学基礎 基礎(イメージング2)

(S767)

高速処理に基づく組織変位ベクトル計測による粘ずり弾性率再構成イメージング

Imaging of tissue displacement vector and visco-shear modulus on the basis of high speed processings

炭 親良

Chikayoshi SUMI

上智大学理工学部情報理工学科

Dept of Info & Commun Sci, Sophia University

キーワード :

【目的・対象】
本稿では,軟組織や血流の(粘)ずり弾性率イメージングに関し,我々が過去に開発した技法をreviewすると共に,最新の結果を報告する.
【方法・結果】
(I)まず,(粘)弾性率再構成についてであるが,世界初の提案後に実施して来た(粘)弾性率の1次元(歪比)から多次元の再構成を比較すると,定量性やアーチファクトの点で,多次元再構成において,体内圧(心腔圧や血圧を含む)や力源も再構成することは重要である.力源として,対象組織毎に加圧や加振,放射圧,自発的なもの(心拍や体動等)を適切に使用でき,静的な場合やずり波の観測を含む動的な場合の全てにおいて実施可能である.圧縮性を示す組織では,ポアソン比も再構成できる.応力テンソル,弾性エネルギーや損失,非線形特性や非等方性も観測できる.寒天ファントム実験では,ビーム方向と直交する横方向の変形時において弾性率が2倍程度の直径3mmのつめものは十分に再構成でき(おそらく1mm径も可),微小病変の鑑別が可能になる可能性がある.実時間処理である.(II)一方,それらの計測に必要な組織の動態観測に関しては,我々は,古くから実施されていた血流の狭帯域1次元ドプラ計測とは異なり,空間分解能を重視しながら,それも多次元ベクトル(歪率テンソル)計測を可能にして来た.無論,動態観測を目的に,直接に観測される変位や歪,歪(率)をイメージングすることにも有用である.究極的には時間軸を含む4次元ベクトルをドプラ計測する(多次元自己相関法等)のだが,我々は,複数のフォーカスビームや平面波(や球面波等)を交差させて横方向変調を実現する,さらには,over-determinedシステム(OAS)を実現することの有効性を報告している(例えば,ITEC2015).高フレームレート化には,複数のフォーカスビームや平面波を同時送信して受信フーリエビームフォーミングすることは有効である(別稿).各関心点に生成されている超音波やずり波の伝搬方向を加味した高精度な観測をも実時間で実施できる.一方で,交差波は生成せずに各関心点を1つの波で観測し,受信後のデジタル信号処理の下で横方向変調(ビーム交差と同等な精度を実現済み.Rep Med Imag 2012)やOASを実現することも有効である.ビームフォーミングを簡単化できる効果がある.本稿では,このOASにおいて得られた新しい実験結果を含めて報告する.(1)横方向と深さ方向の低周波スペクトルの除去による各方向の高周波化(狭帯域化の効果を含む)は,他方向の変位の精度をも向上させる,(2)これらにおいて,遮断周波数の異なる信号を複数生成して連立すると更に効果がある,(3)深さ方向や横方向のスペクトル分割(細かく分割しすぎずない),(4)オリジナルのスペクトルも用いて深さ方向の変位に関する式も連立すると横方向の変位成分を含めて精度は向上する,(5)これらを全て連立する効果もある等,連立方程式ならではの効果,(6)通常のチャンネル数でアポダイゼーションせずに横方向に広帯域化すればよく,実用的である.その他,複数偏向平面波の重ね合せによる広帯域においても,同処理は有効である.
【考察・結論】
観測対象が多次元であり,それを多次元処理によって求めるがため高精度となること,そして,結果的に臨床医の計測手技も簡便になることは何事にも増して重要である.プローブを対象に宛がうのみで必ずにHigh qualityイメージングを実施できよう.1995年に報告した乳癌例の最初の加圧歪イメージング以上のインパクトがある.検診時を含む微小病変の鑑別診断の他,HIFUや穿刺針電磁波加熱凝固治療(IEEE UFFC 2005),顕微鏡,再生医療へ応用でき,Theranosisに新しい局面を拓くものと考える.