Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
工学基礎 基礎(イメージング1)

(S766)

超音波計測に基づく同一の心筋組織の収縮弛緩特性評価

Evaluation of Myocardial Contraction and Relaxation Property at the Same Region Based on Ultrasound Measurement

浅井 拓磨1, 小林 樹3, 瀧 宏文1, 2, 金井 浩1, 2

Takuma ASAI1, Itsuki KOBAYASHI3, Hirofumi TAKI1, 2, Hiroshi KANAI1, 2

1東北大学大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学大学院工学研究科電子工学専攻, 3東北大学工学部情報知能システム総合学科

1Dept of Biomedical Eng., Graduate School of Biomedical Eng., Tohoku University, 2Dept of Electronic Eng., Graduate School of Eng., Tohoku University, 3Dept of Information and Intelligent Systems, Faculty of Eng., Tohoku University

キーワード :

【はじめに】
超音波を用いた厚み変化速度計測法は,局所心筋機能の定量的評価法として有用であり,従来から広く研究されてきた[1].本研究グループにおける先行研究において,ヒト心臓壁を対象としたin vivo計測で推定された超音波ビーム方向変位を用いて厚み変化速度を算出し,心筋の収縮弛緩特性の評価を行った[2].しかし,上記の先行研究においては超音波ビーム方向のみの変位を用いているため,ラテラル方向の変位を考慮して心筋の収縮力を評価していない.すなわち,1心拍で同一の心筋組織の収縮弛緩特性を評価していないことを意味する.本報告では,スペックルトラッキング法を用いて心筋内の複数の観測点をビーム方向とラテラル方向の2次元平面内で追跡した.2方向の変位量を考慮するため,2つの観測点間の距離変化を用いて1心拍で同一の心筋組織の伸縮変化の評価を行った.また,スペックルトラッキングにおける膨大な計算時間を短縮化するために,graphical processing unit(GPU)を用いた並列化手法を実現した.
【方法】
本研究では1心拍で同一の心筋組織の収縮弛緩特性を評価するために,2点間の距離変化を用いて心筋の伸縮変化の算出を行う.まず,心電図のQ波において,心臓壁内に1走査線上に観測点を複数点設定する.次に,各観測点を2次元スペックルトラッキング法により1心拍の間追跡し,各フレームにおける位置ベクトルをそれぞれ算出する.求められた位置ベクトルを用いて2観測点間の距離を求め,初期フレームでの距離からの差を伸縮変化と定義する.また,計算時間短縮のために,本研究ではCPUに比べて非常に多い2496個の演算ユニットを備えたGPUを用いた.GPUにおけるブロックを関心領域,スレッドを探索領域に割り当てて並列化処理を行うことによって,理論上は全ての関心点の探索領域の各点における相関値を同時に算出することができる.
成人健常男性1名の心室中隔壁および左室後壁を対象に,心電図のQ波から1心拍後のS波まで追跡点をトラッキングし,上記伸縮変化を算出した.また,GPU並列化処理の有用性を評価するために,心臓壁内の観測点を2,4,8,16,32,64,128,256と変化させ,GPUとCPUの計算時間の比較を行った.
【結果】
心時相の駆出期において,心室中隔壁および左室後壁の厚みの増加傾向が見られた.また,急速流入期において厚みの減少傾向が見られた.これらの結果は実際の心筋運動に対応した伸縮変化である.また,心室中隔壁および左室後壁の伸縮変化において,超音波ビーム方向変位のみに基づく従来法では見られなかった局所心筋の収縮弛緩特性を提案法で確認することができた.さらに,GPUに基づく並列化手法を伸縮変化計測に適用したところ,計算時間はCPUに比べて最大1/50の短縮化に成功した.
【結論】
2次元スペックルトラッキング法を用いた心筋の伸縮変化計測法により,心臓の生理機能を解明できる可能性が示唆された.また,GPU並列化処理により2次元スペックルトラッキング法によるリアルタイム心筋収縮弛緩特性評価の実現可能性が示された.
【参考文献】
[1]H. Kanai et. al., IEEE Trans. Ultrason. Ferroelectr. Freq. Control, Vol. 44,No. 4,pp. 752-768,1997.
[2]H. Yoshiara et. al., Jpn J. Appl. Phys., Vol. 46,No. 7B, pp. 4889-4896,2007.