Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
工学基礎 基礎(イメージング1)

(S765)

パルスドプラ血流計測における生体組織の周波数依存減衰の影響とその補正

Effects and compensation for pulsed Doppler blood flow measurement by frequency dependent attenuation of biological tissue

佐藤 寛1, 手嶋 優風2, NISHIMURA Jun3, 渡辺 好章3, 飛龍 志津子1, 秋山 いわき3

Kan SATOU1, Yu TESHIMA2, Jun NISHIMURA3, Yoshiaki WATANABE3, Shizuko HIRYU1, Iwaki AKIYAMA3

1同志社大学生命医科学部医情報学科, 2同志社大学大学院生命医科学研究科, 3同志社大学超音波医科学研究センター

1Faculty of Life and Medical Sciences, Department of Biomedical Information, Doshisha University, 2Graduate Course of Life and Medical Sciences, Doshisha Graduate School, 3Medical Ultrasonics Research Center, Doshisha University

キーワード :

【背景】
生体組織の減衰係数αと周波数fの関係はα=α0fβ(β≅1)と表される.このような生体組織を超音波パルスが伝搬するとその中心周波数が低い周波数へシフトする現象が見られる.エコー信号の中心周波数が低い周波数へシフトすると,送波パルスの中心周波数で直交検波すると信号対雑音比(SNR)が低下するためエコー信号の中心周波数で直交検波する必要がある.一方,携帯型の超音波診断装置では直交検波を受波信号のサンプリングと同時に行われる方式が採用されることがあり,この場合では直交検波周波数が固定されるため周波数依存減衰によりSNRは低下する.そこで,受波信号の中心周波数シフトから送波信号の中心周波数を補償して送波すれば直交検波周波数を変えることなくSNRの低下を避けることができる.本報告では本補償法の有効性を実験によって確認したので報告する.
【方法】
脱気水を満たした水槽内に流路として血管を模擬したシリコンチューブを設置し,流路内には散乱体としてデキストラン(粒径20μm)を含んだ脱気水が一定速度で流れるようにした.流路に対して生体組織模擬ファントムを透過して超音波が照射されるように中心周波数4.6MHz,64素子の超音波プローブとファントムを上部に設置した.ファントムの減衰定数は0.6dB/cm/MHz,厚さは60mmである.得られたエコー信号に本補償法を適用してドプラ周波数を測定し,適用しない場合と比較検討した.
【結果】
中心周波数4.6MHzの超音波パルス(5波)を送信したときのエコー信号における中心周波数のシフト量は0.3 MHzであった.これを補償するために5.1 MHzを中心周波数とする超音波パルスを送波したところエコーの中心周波数は4.6MHzとなった(Fig.1).一方,中心周波数を高くすれば生体組織中での減衰量も増大するため,SNRが低下する.そこで送波信号の音圧を増大した.4.6MHzの超音波パルスを送信して4.6MHzで直交検波した場合と5.1MHzの超音波パルスの音圧を6dB増大させて送信して4.6MHzで直交検波した場合のドプラ・スペクトラムを比較してFig.2に示す.それぞれのドプラ周波数の期待値は補償前が-49Hzで,補償後が151Hzとなった.本補償法によってSNRが向上し,測定精度が向上していることがわかる.
【まとめ】
生体組織の周波数依存減衰がパルスドプラ法に与える影響を流路ファントムによる実験によって確認し,中心周波数シフトと音圧を補償する手法を適用したところ,その有効性を確認した.