Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般ポスター
工学基礎 基礎(イメージング1)

(S764)

超音波パラレルビームフォーミングにおけるブロック状パタンの低減

Block-like pattern suppression in ultrasound parallel beamforming

石原 千鶴枝1, 広島 美咲1, 鈴木 麻由美1, 池田 貞一郎1, 栗原 浩2, 久津 将則2, 隈﨑 健二2

Chizue ISHIHARA1, Misaki HIROSHIMA1, Mayumi SUZUKI1, Teiichiro IKEDA1, Hiroshi KURIBARA2, Masanori HISATSU2, Kenji KUMASAKI2

1株式会社日立製作所研究開発グループヘルスケアイノベーションセンタ, 2株式会社日立製作所ヘルスケア社

1Center for Technology Innovation - Healthcare, Research & Development Group, Hitachi, Ltd., 2Healthcare Company, Hitachi, Ltd.

キーワード :

【背景・目的】
超音波撮像に広く用いられている受信パラレルビームフォーミング(Parallel Beamforming : PB)は,1回の送信事象につき複数の受信走査線を生成するため,フレームレート向上が可能である.しかし,走査線をラテラル方向に横断する構造体が階段状(ブロック状パタン)に描写され,臨床における正しい形態評価の障害となる.本研究では,ブロック状パタンを低減するための結像点位置ずれの補正方法の提案を行い,提案方式によるPBの画質改善効果を明らかにする.
【方法】
PBにおける位置ずれの主要因として以下の2つを想定し,それぞれの補正を試みる.1つ目は,送信ビームの空間的な音圧分布に起因し,送受ビームの最大強度が設定受信走査線から送信ビーム軸側にシフトする位置ずれである.2つ目は,送受のビーム軸が一致することを前提として遅延計算を行うことにより,送信ビーム軸から離れた受信走査線において遅延誤差が大きくなることによる位置ずれである.前者に対しては,送受ビーム感度が所望の方向で最大となるよう,送信ビームに対する受信ビームの角度を補正する.後者に対しては,音波の実際の往復時間を高精度に求めることで補正を行う.具体的には,図1に示すように,プローブと観測点を往復する音波の伝搬時間を各送受チャネルに対して算出し送信波形Pを重畳,全チャネルの信号を積算した波形Psを計算する.Psの最大振幅を形成する時刻τが,観測点とプローブ全体との伝搬時間を表わす最適な遅延値とする.これらの提案方式を用いたPB画像をシミュレーションにより評価する.シミュレーションに用いた条件は,セクタプローブ(80ch,ピッチ0.25 mm),中心周波数3 MHz,走査角度ピッチ0.75°とした.PBの条件は1回の送信につき4本の受信走査線(4 PB)とした.
【結果・考察】
図2は受信走査線の角度補正の効果を示すものである.図2(a)は従来方式,(b)は角度補正方式,(c)は目標画像(1送信1受信:1PB)の結果である.(a)では,斜めの構造物がブロック状パタンになり,境界面が階段状に描写される.一方,(b)では境界面がなめらかになり,(c)と近い画質が得られた.さらに,遅延値補正方式においても有意な画質改善効果が得られた.提案手法により高フレームレートと形態評価に必要な高画質を両立した超音波像の実現が期待される.