Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
その他

(S762)

死体検案におけるAutopsy Ultrasonographyの意義

Evaluation of Autopsy Ultrasonography for diagnosing death couses

陶山 芳一

Yoshikazu SUYAMA

陶山医院内科・消化器科・警察医

Police Surgeon, Suyama Clinic

キーワード :

【目的】
監察医制度のない京都市では死体検案を警察医が京都府警と協力して行い死因診断を下している.検案例は経過が不明な急死例が多く,CT等の画像情報も十分ではない.2007年より検案時に超音波検査Autopsy Ultrasonography(以下AUS)を導入し,死後画像診断の施行状況,AUSの死因診断における意義について検討した.
【対象】
2007年〜2015年の9年間における検案件数は917件でこのうちAUSを462例に行った.同時期に胸部X線撮影が168例,CTが169例に撮像された.CTは救急室での撮像と死後のAiを含む.
【方法】
超音波診断装置はSonoSite TiTAN(コンベックスプローブ),2014年7月からTOSHIBA NEMIO(コンベックス,セクター)を使用した.
当初は腹部エコーの手順で検査したが,2010年3月より胸骨周囲から心臓,上行大動脈の観察を加えた.AUSを行った462例においてAUSが死因診断に寄与した症例等を検討した.
【結果】
AUSが死因診断に寄与した症例は①急性大動脈解離:AUS所見は上行大動脈の拡張,フラップ,血性心膜液,血性胸水で疑い例21例を含む111例でこれらの所見を認めた.
②悪性疾患:食道癌2,肝癌2,転移性肝癌2,肺癌2,乳癌1その他を含む悪性疾患20例を診断した.図1直腸GIST症例.③アルコール関連死・肝硬変:19例で腹水や肝硬変,脂肪肝の所見を認めた.④慢性心不全:心肥大,胸水貯留,うっ血肝などの客観的所見を54例で認めた.死後画像検査の実施状況について,9年間に917件の検案に対して施行されたCTは18%,X線撮影18%,AUSは50%であった.
【結論】
死体検案の際死因診断について,画像診断が重要な要素となっているが,X線,CT画像を得られる頻度は十分ではない.これを補う手段としてAUSの意義は大きいと考える.