Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
その他

(S760)

超音波検査の存在意義を更に上げる為に,超音波にマネージメントを(第6報)

The Managment of Medical Ultrasonics for patient

島ノ江 信芳

Nobuyoshi SHIMANOE

株式会社コ・メディカル

Co-medical Co. ltd

キーワード :

【はじめに】
非常に悲しい現実として,多くの施設で超音波検査が医師から信用信頼されていない事がある.ある施設では,肝臓のスクリーニングは,超音波検査にオーダーされず,全例CTで行われている.ある施設では,腎動脈狭窄の確認は,超音波検査でなく全例CTで行われている.ここには,超音波検査に関係する方と他科の医師との信頼関係が希薄である.そこで,超音波検査が医師に更に信頼され,チーム超音波のメンバーがもっと楽しく誇りを持って超音波検査が出来るシステム創り“超音波マネージメント”を,9年間研究してきた.2014年の本学術集会では,この超音波マネージメントをテーマのパネルディスカッション「さまざまな立場の超音波検査士をマネージメントする」を開催して頂き,大きな反響を頂いた.その後の研究内容を報告する.
【目的】
チーム医療の中で,超音波検査がその存在意義を上げる為には,何が必要か.また,診断精度や効率を上げるには,どうすればよいか.更に,超音波検査に関係されているチーム超音波のメンバーが,今以上に楽しくモチベーション高く超音波検査が出来るか.この3つを解決する方法を目指す.
【方法】
他のモダリティーと比べて,超音波検査の本来持っている診断精度が高い症例についても,その情報が医師に伝わっていない事が多い.そこで,まず本学会へのお願いですが,超音波検査を用いると診断精度が強い症例をどんどん発信して頂きたい.さて,医師が,超音波検査を信用信頼できない主な原因としては,①見落とし ②検者間のバラツキ ③次に繋がる情報が出ない ④コミュニケーションがない などが挙げられる.この現実を踏まえて,超音波マネージメントについて述べる.ベースとなる考え方は,ピーター・F・ドラッカーのマネージメントである.その上に,バランスト・スコアカードを用いる.
この超音波マネージメントは,①精度管理・標準化 ②超音波検査室の環境改善 ③接遇の3つの柱からなり,具体的に必要な知識と技術をハッキリさせ,今何をするかを明確にする.
最初に,一番重要な精度管理・標準化について,述べる.まず,段階的にスキルアップする段位制度を作る.これは,レベル1からスタートし,各レベルでの必要な知識・技術を本学会の超音波専門医研修カリキュラムなどを参考に明文化し,チーム学習でお互いに教えあい,次のレベルに上がる為には,昇段試験に合格する必要がある.PLAN DO CHECK ACTION を用いて,各レベルで必要な知識技術をハッキリさせ(PLAN),精度管理・標準化の下に検査(DO),最終確定診断と超音波検査とのチェック(CHRCK),最終確定診断と超音波検査が違った場合の対策をとり(ACTION),このサイクルを回していく.もし,結果が違った場合でもその検者を責めるのでなく,チーム超音波として対応する.そして色々な症例の情報も含め,情報の共有化を行い,その情報のアップデートを行う.また,コミュニケーションをしっかりと行うために,お互いが使う言葉の定義を明確に行う.
次に,超音波検査室の環境改善であるが,本学会の谷口信行先生の御研究などを踏まえ,検査精度が上がり,安全で,患者さんにも快適な環境を創っていく.
更に,接遇についてであるが,患者さんに対する接遇だけでなく,チーム超音波のメンバーが働きやすいシステムを創る.患者さんからのハラスメント対策やワークライフバランスの向上も行う.
【結語】
超音波検査がその存在意義を益々向上し,チーム医療の質と効率を更に向上に貢献する為に,先生方から色々な御意見を伺い,研究を続けていく.