Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
健診

(S756)

腹部超音波検診で発見される膵嚢胞性病変の現状と問題点

Current status and problems of pancreatic cystic lesions finding by abdominal screening ultrasonography

福元 嘉也1, 川畑 雄典1, 樋脇 誠1, 川口 真1, 西 憲文1, 原口 誠1, 石山 重行1, 谷口 鎌一郎2, 宮原 広典3, 前之原 茂穂4

Yoshiya FUKUMOTO1, Yuusuke KAWABATA1, Makoto HIWAKI1, Makoto KAWAGUCHI1, Norifumi NISHI1, Makoto HARAGUCHI1, Shigeyuki ISHIYAMA1, Kenichirou TANIGUCHI2, Hironori MIYAHARA3, Shigeho MAENOHARA4

1鹿児島県厚生連健康管理センター中央検査室, 2鹿児島県厚生連病院消化器科, 3鹿児島県厚生連健康管理センター消化器科, 4鹿児島厚生連病院外科

1Department of Radiology and Laboratory, JA Kouseiren Medical Health Care Center in Kagoshima, 2Department of Gastroenterology, Kagoshima Kouseiren Hospital, 3Department of Gastroenterology, JA Kouseiren Medical Health Care Center in Kagoshima, 4Department of Surgery, Kagoshima Kouseiren Hospital

キーワード :

【はじめに】
膵嚢胞性病変の発見には腹部超音波検査が有用である.膵嚢胞性病変に含まれる膵管内粘液性腫瘍(IPMN)は膵癌のリスクファクターとなるため,検診において病変を指摘し精査あるいは経過観察していくことは,膵癌早期発見のために重要なことである.
【目的】
腹部超音波検診で発見される膵嚢胞性病変の現状と問題点の把握を目的とした.
【対象および検討項目】
対象は2012年4月から2015年3月までの3年間に当施設で腹部超音波検診を実施した延べ134,935例とした.男性64,422例,女性70,513例,平均年齢はそれぞれ61.0歳,62.5歳であった.検討項目は①検診で指摘された膵嚢胞性病変について,発見率,発見部位,主膵管拡張の有無,②精検結果について,精検受診率,陽性反応的中度,精検方法とした.
【結果】
①検診で指摘された膵嚢胞性病変について
実人数74,195名のうち膵嚢胞性病変の発見例は1,381名(発見率1.86%),男性477名(1.36%),女性904名(2.30%)と女性に多く,平均年齢は70.2歳(P<0.001)と高齢者に多く,加齢とともに増加していた.なお,発見例は精検にて確定した症例および経過観察中の症例とした.年ごとにみると,発見数は662例,776例,864例,発見率は1.49%,1.66%,1.97%と増加していた.部位別では,頭部29.9%,体部60.7%,尾部9.4%と体部に多かった.
膵嚢胞性病変,主膵管拡張ともに指摘されたのは88名(発見率0.12%),男性52名(0.15%),女性36名(0.09%),平均72.2歳であり,男性,高齢者に多く指摘されていた.
②精検結果について
精検受診率は年ごとに81.7%,83.5%,89.7%と増加していたが,陽性反応適中度は83.3%,78.8%,77.6%と減少していた.男女,嚢胞径と精検結果に相関はみられなかった.精査方法は超音波検査(US)55.9%,CT検査62.7%,MRI検査15.6%,超音波内視鏡検査(EUS)2.1%であり,3年間の傾向としてはUSが減少し,MRI,EUSが増加していた.
【考察】
膵嚢胞性病変の発見率はMRIで10.0%,超音波検診で0.6〜1.0%との報告があるが,当施設の発見率は1.9%であった.発見例は女性に多く,部位は膵体部に多かった.IPMNは中高年男性,膵頭部に好発すると言われており,指摘された病変の中に単純嚢胞,貯留嚢胞など発癌とは無関係な疾患が含まれている可能性があること,走査において男性,膵頭部の観察が不十分であることが考えられた.逐年受診が多い中で発見率は年々増加しており,装置による画質向上,走査方法改善の取り組みによる描出能向上が要因となっていると思われた.
陽性反応適中度は減少しており,嚢胞性病変発見例の増加とともに周囲脂肪組織や脂肪浸潤など嚢胞性病変以外の病変の指摘例が増加していることが考えられた.精査ではMRI,EUS実施例が増加していたが,USのみで精査している例や非造影CTを施行している例も存在した.
【結論】
膵癌早期発見のために,検診では装置の選択や走査手技,特に膵頭部の観察を重要視し,より多くの膵嚢胞性病変,主膵管拡張などの高危険度群を拾い上げ,専門施設で精査,経過観察をしていくことが重要である.