Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
運動器 運動器①

(S746)

負荷の違いによる腹直筋の形状変化(第一報)

Change of form of abdominal rectus muscle by difference movement: first report

髙瀬 直敏1, 髙田 悦雄1, 4, 吉原 明美1, 川又 美咲1, 江尻 夏樹1, 今野 佐智代1, 永田 仁1, 2, 竹川 英宏1, 3

Naotoshi TAKASE1, Etsuo TAKADA1, 4, Akemi YOSHIHARA1, Misaki KAWAMATA1, Natsuki EJIRI1, Sachiyo KONNO1, Jin NAGATA1, 2, Hidehiro TAKEKAWA1, 3

1獨協医科大学病院超音波センター, 2獨協医科大学第二外科学, 3獨協医科大学神経内科, 4那須赤十字病院放射線科超音波診断部

1Center of Medical Ultrasonics, Dokkyo Medical University Hospital, 2Second Department of Surgery, Dokkyo Medical University, 3Department of Neurology, Dokkyo Medical University, 4Department of Ultrasonic Diagnosis, Nasu Red Cross Hospital

キーワード :

【背景】
これまで筋肉は,筋線維の収縮によって筋線維走行方向に沿ってだけ伸縮するとされてきた.しかし,Watanabeらは,経膣的超音波断層法による観察で女性の尿道活約筋において,筋線維走行方向に対して直角方向にも運動できる可能性が高い事を報告した1).そこで強靭な横紋筋である腹直筋が,収縮時に筋線維に対し平行・直角方向でどのような動きをするかについて観察した.
【対象と方法】
本研究への参加に同意した健常成人男女性8名(平均年齢41歳)を対象とした.腹直筋の観察は超音波診断装置(東芝製Aplio 500)の3.5MHzのコンベックスプローブを用い,Bモードで行った.仰臥位・膝立て姿勢で力を抜いた状態を弛緩時姿勢とし,頸部を屈曲し腹直筋に力を入れた状態(頸部屈曲姿勢)および弛緩時姿勢から頭部の位置を変えず,最大呼気時に腹部を凹また状態(腹部引き込み動作姿勢)を収縮時状態とした.各姿勢において腹直筋の厚さ(背腹径)と横径(左右径)を筋線維に対し平行方向・直角方向で計測した.なおプローブの位置は音響カプラーを用い,腹直筋1分節全体の動きが観察できる位置を同定し,0.1mm単位で計測した.さらに動画で弛緩時姿勢から収縮時状態までを記録し,腹直筋自体がどの様に形状変化をするかを観察した.
【結果】
頸部屈曲姿勢では,筋線維に対し平行方向で厚さは平均4.4mm増加し,横径は平均15.9mm短縮し,腹直筋は背・腹側に偏位して俵状に変化した.筋線維に対して直角方向の観察では,厚さが平均4.2mm増加し,横径は平均3.2mm短縮した.腹直筋の形状変化をみると3名(37.5%)が平行方向と同様に俵状に変化した.しかし5名(62.5%)は背側にほとんど偏位せず腹側に厚みが増加し,腹直筋の両端が背側に偏位する事で勾玉状に観察された.一方,腹部引き込み動作姿勢では,筋線維に対し平行方向では厚さが平均0.9mm増加し,横径は平均6.2mm短縮した.直角方向では厚さが平均0.9mm増加,横径は平均5.0mm短縮がみられた.しかし,両姿勢とも腹直筋の形状に大きな変化はなかった.
【考察・結論】
頸部屈曲姿勢では筋繊維に対し直角方向で観察を行うと,その形状は俵状または勾玉状を呈した.一方,腹部引き込み動作姿勢では,腹直筋の形状に大きな変化は認めなかった.両姿勢では腹直筋に発生する筋力に差があり,後者でより多くの筋力が出現する.従って,筋力の程度により筋肉の形状変化が起こりうる可能性が示された.しかし,頸部屈曲姿勢では俵状に変化する例もみられており,腹直筋に対する負荷の程度を定量的に評価しながらの検討が必要と考えられる.結論として,筋肉にかかる負荷の程度により,収縮運動による形状変化には違いがあることが観察された.
文献
1)Watanabe H,Takahashi S,Ukimura O:Urethra actively opens from the very beginning of micturition:Anew concept of urethral function.International Journal of Urology 2014;21:208-211