Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
血管 血管③

(S734)

肥満を有する2型糖尿病でのIMT,頸動脈壁弾性特性に対するSGLT2阻害薬の作用について

Effects of SGLT2 inhibitors on carotid arterial IMT and elastic modulus, baPWV in type 2 diabetic patients with obesity

山岸 俊夫1, 長谷川 英之2, 金井 浩3

Toshio YAMAGISHI1, Hideyuki HASEGAWA2, Hiroshi KANAI3

1東北公済病院内科, 2東北大学大学院医工学研究科医工学専攻, 3東北大学大学院工学研究科電子工学専攻

1Department of Internal Medicine, Tohoku Kosai Hospital, 2Department of Biomedical Engineering, Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 3Department of Electronic Engineering, Graduate School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
SGLT2阻害薬は,2型糖尿病で発現が増加している近位尿細管でのSGLT2の働きを阻害する薬剤で,血糖低下効果の他に,体重減少,血圧低下,脂質改善,尿酸低下などの効果が知られている.今回,肥満を有する2型糖尿病で,SGLT2阻害薬のIMT,頸動脈壁弾性特性,脈波伝播速度(baPWV)などに対する作用ついて検討した.
【方法】
肥満(BMI25以上)を有する2型糖尿病外来患者30人(平均年齢53才,BMI30.9kg/m2)に,SGLT2阻害薬(イプラグリフロジン,ダパグリフロジン,ルセオグリフロジン,トホグリフロジン,カナグリフロジン,エンパグリフロジンいずれか1剤)を内服してもらい,生化学データ,baPWV,中心血圧(cSBP),内膜中膜肥厚(IMT)を12ヶ月間観察した.またうち6人でIMTおよび弾性特性(Eθ)の同時測定を行い,頸動脈エコーにて左右の総頸動脈の各2箇所,Bulbを含まない平坦部分について,合計4箇所を計測部位とした.Eθの計測には位相差トラッキング法(Kanai et al. 2003 Circulation)を用い,IMT計測領域にて測定した.
【成績】
投与前の血糖,HbA1c,体重,T-Cho,TG,HDL-C,LDL-C,AST,ALT,GGTP,尿酸,血圧,脈圧,baPWV,cSBP,IMT,Eθは,126±30 mg/dL,7.6±1.5%,87.9±18.5 kg,181±28 mg/dL,153±39 mg/dL,46±10 mg/dL,105±31 mg/dL,41±34 IU,45±28 IU,49±40 IU,6.0±1.0 mg/dL,79.0±20.8 ml/min./1.73 m2,131±15/79±9 mmHg,52±10 mmHg, 1618±285 cm/sec, 136±14 mmHg,1.34±0.48 mm, 318±89 kPaであった.SGLT2阻害薬投与12ヶ月後には,血糖(-12%),HbA1c(-8%),体重(-2%)は有意に減少(p<0.05),肝機能AST(-33%),ALT(-29%),γ-GTP(-18%)も有意に改善した.TC(-7%),TG(-12%)は減少傾向,HDL-C(-4%)は変化なし,LDL-C(-10%),尿酸(-19%),随時血圧(-6%/-6%),cSBP(-8%),baPWV(-8%)は有意に減少した.一方,頸動脈エコーでのIMT(-9%)とEθ(-23%)は有意に減少した.
また血管弾性特性(Eθ)の成分の増分,減分をヒストグラムで解析したところ,薄い部分では,平滑筋の硬さに相当する成分が増えていたことから内皮機能の改善が考えられた.
【結論】
SGLT2阻害薬は,肥満を有する2型糖尿病患者において,体表からの超音波によるIMTおよび血管弾性特性を有意に変化させた.その機序として,血糖,脂質プロファイルの改善,血圧低下や内皮機能の改善を生じうる可能性が示唆された.