Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
血管 血管②

(S731)

頸動脈検査による大動脈弁評価

Ultrasonographic measurement of the common carotid artery for evaluation of aortic valve

川又 美咲1, 竹川 英宏1, 2, 豊田 茂3, 伊波 秀3, 岡部 龍太2, 4, 今野 佐智代1, 江尻 夏樹1, 高瀬 直敏1, 吉原 明美1, 髙田 悦雄1, 5

Misaki KAWAMATA1, Hidehiro TAKEKAWA1, 2, Shigeru TOYODA3, Syuu INAMI3, Ryuta OKABE2, 4, Sachiyo KONNO1, Natsuki EJIRI1, Naotoshi TAKASE1, Akemi YOSHIHARA1, Etsuo TAKADA1, 5

1獨協医科大学病院超音波センター, 2獨協医科大学神経内科, 3獨協医科大学心臓・血管内科, 4公立阿伎留医療センター内科, 5那須赤十字病院放射線科超音波診断部

1Center of Medical Ultrasonics, Dokkyo Medical University Hospital, Tochigi, Japan, 2Department of Neurology, Dokkyo Medical University, Tochigi, Japan, 3Department of Cardiovascular Medicine, Dokkyo Medical University, Tochigi, Japan, 4Department of Internal Medicine, Akiru Municipal Medical Center, Tokyo, japan, 5Department of Ultrasonic Diagnosis, Nasu Red Cross Hospital, Tochigi, japan

キーワード :

【目的】
頸動脈エコー検査は動脈硬化性疾患,脳卒中および冠動脈疾患で評価される.心エコー検査は脳卒中や冠動脈疾患,症候性大動脈弁疾患では施行されるが,動脈硬化評価のスクリーニング目的では少ない.われわれは頸動脈エコー検査で大動脈弁疾患を疑うことが可能か検討した.
【対象と方法】
脳卒中および急性冠症候群,大動脈弁疾患で頸動脈エコー検査と経胸壁心エコー検査を施行した47例(平均年齢69.9歳,男性25例)を対象とした.頸動脈エコー検査はリニア型探触子(5-11MHz)で右頸動脈を評価した.パルスドプラ法で総頸動脈(CCA)および内頸動脈(ICA)の収縮期加速時間(AcT)を計測し,ICAのAcT(ICA-AcT)をCCAのAcT(CCA-AcT)で除したAcT ratioを算出した.なおAcTは初めのピークまでの時間と定義した.経胸壁心エコー検査はセクタ型探触子(中心周波数2.5MHz)を用い,左室駆出率(EF),大動脈弁狭窄症(AS)および大動脈弁閉鎖不全症(AR)を評価し,「なし,軽度,中等度,重度」に分類した.統計はピアソンのカイ二乗検定,マン・ホイットニーのU検定,重回帰分析およびreceiver operating characteristic curve(ROC曲線)を用い,弁膜症とAcT,AcT ratioについて解析した.
【結果】
ASを認めなかったのは27例,軽度1例,中等度2例,重度17例であった.ARは軽度15例,中等度8例で,重度は存在せず,24例には認めなかった.ARを「なし,軽度」群と「中等度」群で比較すると,年齢,性別,EF,CCA-AcT,ICA-AcTおよびAcT ratioは両群に差はなかった.一方,ASを「なし,軽度」群と「中等度,重度」群で比較すると,年齢,EFに有意差は認めなかったが,性別は「なし,軽度」群の男性は75%,「中等度,重度」群は21.1%と差がみられた(p<0.001).CCA-AcTは前者の0.07秒(中央値)に対し,後者は0.15秒と有意に延長し(p<0.001),ICA-AcTも前者が0.07秒,後者が0.17秒と有意差があった(p<0.001).しかし,AcT ratioは両群とも1.00と差は得られなかった(p=0.276).重回帰分析ではCCA-AcT(p<0.0001,R二乗=0.652)およびICA-AcT(p<0.0001,R二乗=0.700)ともに中等度以上のASの独立した要因であることが示された.ROCの曲面下面積はCCA-AcTが1,ICA-AcTが0.999であり,カットオフ値を0.105とすると,前者は感度,特異度とも100%,後者は感度100%,特異度96.4%であった.
【考察・結論】
ASではAcTが延長することが報告されているが,その明確な基準値はない.また,ICA分岐部狭窄では遠位部のAcTが延長し,AcT ratioも上昇することが知られている.一方,ARがAcTに影響を及ぼすかについての検討はない.症状が出現した高度ASの予後は不良であり,狭心症が出現してからの平均余命は5年,失神では3年であると報告されている.さらに高齢者では日常生活動作が低下していることが多く,自覚症状が出現しづらい.このような観点から,頸動脈エコー検査を受けた症例においても重度ASの検出は重要となる.結論として,CCAおよびICAのAcT延長があり,その差がない例は重度ASを疑う有用な所見と考えられる.