Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
血管 血管①

(S730)

下肢静脈超音波検査における深部静脈血栓症とDダイマー値との関連

Relation between deep vein thrombosis and D-dimer in sonographic evaluation of lower limbs

佐藤 愛1, 高橋 香1, 小村田 志野1, 小嶋 亜耶1, 佐藤 逸美1, 片平 美明2, 西條 芳文3

Ai SATOU1, Kaori TAKAHASHI1, Shino KOMURATA1, Aya KOJIMA1, Itumi SATOU1, Yoshiaki KATAHIRA2, Yoshihumi SAIJO3

1東北薬科大学病院中央検査部, 2東北薬科大学病院循環器センター, 3東北大学大学院医工学研究科医用イメージング分野

1Department of Laboratory, Tohoku Pharmaceutical University Hospital, 2Cardiovascular Center, Tohoku Pharmaceutical University Hospital, 3Biomedical Imaging Laboratory, Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
深部静脈血栓症(DVT)診断の検査法の一つとして,下肢静脈超音波検査が重要視されており,当院での施行件数も年々増加傾向にある.本研究の目的は,当院における下肢静脈超音波検査の現状を把握するとともに,DVT診断のスクリーニングとして頻繁に使用されるDダイマー値とDVTとの関連性について検討することである.
【対象および方法】
2015年1月1日〜12月31日に下肢静脈超音波検査を施行した532例(男性189例,女性344例)を対象とし,検査依頼科,Dダイマー値,DVTの有無を調査した.さらに,①Dダイマー1.0 μg/mlをカットオフ値とした場合の,Dダイマー値とDVTの有無,②下肢静脈超音波検査によって深部下肢静脈内にみられた血栓像の性状を,S1:血栓像が血管内に充満していて血管内血流をほとんど認めない群,S2:血栓像周囲や内部に少量の血管内血流を認める群,S3:血栓像の輝度が上昇し血栓周囲の血管内血流を広範囲に認める群,S4:索状および壁在血栓像を認める群,の4つに分類した際の各群とDダイマー値との関連性,③Dダイマー値を10 μg/mlごとに区切った場合における各群の症例数の3項目について検討した.
【結果】
検査依頼科の内訳は循環器科251件(47.1%),整形外科93件(17.4%),外科65件(12.2%),神経内科・リウマチ科48件(9.2%),呼吸器科44件(8.3%),リハビリ科22件(4.1%),他9件(1.7%)であった.全体のうちDVT(+)群とDVT(-)群は各々231例(43.4%)と301例(56.6%)であった.Dダイマーを測定した症例数は420例であり,そのうちDダイマー値1.0 μg/ml以上のDVT(+)群とDVT(-)群は各々156例(37.1%)と165例(39.3%)であり,Dダイマー値1.0 μg/ml以下のDVT(+)群とDVT(-)群は各々30例(7.1%)と69例(16.4%)であった.深部下肢静脈内血栓像の性状別分類においては,Dダイマー値1.0 μg/ml以上で,S1群:S2群:S3群:S4群は各々47例(30.1%):80例(51.3%):10例(6.4%):19例(12.2%),であり,Dダイマー値1.0 μg/ml以下では,各々0例(0%):1例(3.3%):7例(23%):22例(73%)であった.各群で10 μg/ml未満の症例数と10 μg/ml以上の症例数で比較すると,S1群では40.4%:59.6%,S2群では64.2%:35.8%,S3群では70.6%:29.4%,S4群では92.6%:7.4%であった.
【考察】
今回,Dダイマー値の検査を施行した420例中30例(7.1%)はDダイマー値が1.0 μg/ml未満にもかかわらずDVT(+)であった.それらの症例はS3とS4群が97%を占めていた.一般的にDダイマー値が1.0 μg/ml未満はDVTの除外診断に有用であるといわれているが,器質化の進んだDVTの場合はDダイマーが1.0 μg/ml以上にならないことがあるので注意する必要があると考えられた.また,今回の検討でDダイマー値が1.0 μg/ml以上でのDVTの有無が同等であった理由については以下の2つが考えられた.①当院では骨折や術後の症例が高い割合を占める整形外科からの依頼件数が循環器に次いで多いこと.②外科や呼吸器科など,背景に腫瘍や肺炎などを有する症例が多数存在すること.そのため,依頼科や依頼目的別でDダイマー値とDVTの関連性を検討していくことが今後の課題である.また,DVTの超音波組織性状とDダイマー値との関連性については,新鮮血栓を有するDVTではDダイマー値が高めの症例が存在する割合が多く,器質化した血栓を有するDVTほどDダイマー値が低めの症例の割合が多くなる傾向があると考えられた.