Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
血管 血管①

(S729)

立位従事者における下肢静脈瘤発生予防に関するランダム化試験

The randomized trial of prevention varicose vein of foot in standing workers

田代 善彦

Yoshihiko TASHIRO

公立学校共済組合四国中央病院外科

Surgery, Shikoku Central Hospital

キーワード :

立位従事者は下肢静脈瘤発症のリスクと考えられている.弾性ストッキングを使用することで静脈瘤の予防,また軽度の静脈瘤の症状は改善するといわれている.またフットマッサージ器を使用することでむくみやだるさ等の下肢の諸症状が改善するといわれている.今回われわれは,立位従事者を対象に弾性ストッキング,フットマッサージ器を使用し,短期間における静脈血管面積の変化を超音波検査にて評価を行い研究した.
【対象と方法】
対象は当院看護師で男女比6:1,年齢は24歳から46歳であった.ランダムに①弾性ストッキング着用群(1ヶ月間)24名,②弾性ストッキング着用+フットマッサージ器使用群(1ヶ月間)24名,③コントロール群(弾性ストッキング未着用,フットマッサージ器未使用群)20名に分け,自覚症状等の主観的評価と,下肢周囲径および超音波装置を使用し静脈血管面積(大伏在静脈および小伏在静脈)の客観的評価を行った.自覚症状の評価は,しびれ,痛み,だるさ,かゆみの4項目とした.下腿周囲径は下腿の足首部(最小周囲)と腓腹部(最大周囲)の2か所の測定を行い,静脈血管面積は,①大伏在静脈の大腿静脈流入直前部,②大伏在静脈の下腿内側(脛骨交差部),③小伏在静脈の深部静脈流入直前部を測定した.
【結果】
①弾性ストッキング群および②弾性ストッキング+フットマッサージ器使用群ともに自覚症状の改善および下腿周囲径の縮小に効果は得られたが,静脈面積の縮小には統計学的な有意差は見られなかった.
【結語】
弾性ストッキングおよびフットマッサージ器は自覚症状の改善は得られた.一方,静脈瘤の発症にかかわる表在静脈に関しては,静脈還流を反映すると思われる静脈面積の縮小を短期間の使用では得られなかった.今後長期間の使用での変化を検討する必要があると思われた.