Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
血管 血管①

(S728)

B-modeを利用した新たなFMD検査法の基礎的検討

Basic study for the practical application and use of the new ultrasound system by B-mode for FMD measurement

末永 弘美, 上田 裕加, 加藤 朱里, 田島 貴恵

Hiromi SUENAGA, Yuka UEDA, Syuri KATO, Kie TAJIMA

山口大学大学院医学系研究科保健学系学域

Faculty of Health Sciences, Yamaguchi University Graduate School of Medicine

キーワード :

【背景と目的】
現在のところ,血管内皮機能評価法のゴールデンスタンダードは血流依存性血管拡張反応(FMD; Flow-Mediated Dilation)である.非侵襲的検査法である利点から多くの研究者に用いられている.しかしながら,その検査法は術者の技術に大きく依存し,標準法や正常値も明らかになっていないなど問題点も多く,臨床検査としての導入が遅れている.これまでに,ガイドラインでは血管径の変化率だけではなく,shear stressの定量を含めた血管内皮機能評価が望ましいとされているにもかかわらず,FMDとshear stressを同時に,また高精度に測定可能な機器の普及が遅れており,これも検査法の標準化を遅らせている一因といえる.
本研究では,FMD検査法の手技の簡略化や再検率の軽減化を目指して考案された「B-mode画像の利用によるFMD検査法(以下,新法)」の精度について基礎的検討を行った.
【対象と方法】
対象者は若年健常男性12名(22±3歳)と若年健常女性12名(21歳±2歳)の計24名とした.新法によるFMD検査は,超音波診断装置(日立アロカ社製 F37)のECG delay機能を用いて収縮期のB-modeを蓄積し,検査終了後に専用ソフトを用いて安静時血管径および最大拡張血管径から%FMDを算出した.従来法(e-tracking法,日立アロカ社製SSD-6500)および新法によって上腕動脈の中枢側,末梢側の2か所での同時測定を3回繰り返し,2方法間の一致度および相関関係を明らかにした.
【結果】
Bland-Altman plot法によって,従来法と新法の%FMDの一致度は良好であることが示され,有意な相関関係も認めた(R=0.533,p<0.05).また,測定位置の違いによるFMDやshear stressへの影響についての比較では,従来法,新法ともに駆血部位の近位である上腕動脈末梢側が,上腕動脈中枢側に比べて有意に高値となることが示された(p<0.02,p<0.01).
【結論】
新法は従来法と比較して精度に問題はなく,今後の実用化への期待が高まった.