Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 母体・分娩②

(S726)

帝王切開時の子宮筋層縫合方法の違いによる子宮創部菲薄化の評価

Ultrasound evaluation of the caesarean scar after single and double closure

後藤 美希, 菊浦 沙織, 松原 麻祐子, 市瀬 茉里, 樋口 紗恵子, 手塚 真紀, 金高 友妃子, 坂巻 健, 小林 浩一

Miki GOTO, Saori KIKUURA, Mayuko MATUBARA, Mari ICHINOSE, Saeko HIGUCHI, Maki TEZUKA, Yukiko KANETAKA, Ken SAKAMAKI, Koichi KOBAYASHI

東京山手メディカルセンター産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Tokyo Yamate Medical Center

キーワード :

【目的】
帝王切開術による合併症の一つに,子宮筋層創部の菲薄化がある.それにより,次回妊娠時の子宮破裂や癒着胎盤のリスクを高めると言われており,また,非妊娠時においても過長月経や不正出血など,QOLの低下を招いている.帝王切開時の子宮筋層の縫合方法は施設により様々であるが,近年までに,子宮一層連続縫合例は二層連続縫合例に比べて子宮破裂の頻度が高いという報告や,連続縫合は結節縫合に比べて次回妊娠時に癒着胎盤の頻度が高くなるという報告がある.そこで,今回我々は,従来当院で行ってきたZ一層縫合と,創部のずれや歪みが生じにくいと言われている単結節二層縫合において,術後6ヶ月にSonohysterographyを施行して子宮筋層創部の厚さを比較検討,また,手術の所要時間や出血量についても検討した.
【方法】
2013年9月〜2014年11月に当院で初回の帝王切開を施行した患者のうち,検査に同意を得られた59名を対象とした.帝王切開の際の子宮筋層縫合において,2013年9月〜2014年2月までZ一層縫合,2014年3月〜11月までは単結節二層縫合を施行した.子宮筋層縫合糸はいずれも1-0合成吸収糸を使用した.術後6ヶ月後に子宮内に生理食塩水20ml注入しながら経腟超音波検査を施行し,20ml注入した直後の子宮筋層創部の厚さを測定した.超音波装置はGE Healthcare社製Voluson iの経腟プローブ(中心周波数7.5MHz)を使用,統計学的解析はMann-Whitney’s U testを用い,有意水準はp<0.05とした.なお,本研究は当施設倫理委員会承認を得ている.
【結果】
59名中,Z一層縫合は21名,単二層縫合は38名であった.子宮筋層創部の厚さは,Z一層縫合で6.8mm(0-16.2)[中央値(範囲)],単二層縫合で10.3mm(3.5-17.6)でありZ一層縫合は単二層縫合と比較して有意に創部が薄くなっていた(p=0.0208).一方で,手術所要時間は,Z一層縫合62.0分(45-185),単二層縫合で62.5分(32-104),出血量(羊水込)は,Z一層縫合で1100ml(480-2300),単二層縫合で1015ml(380-2770)であり,いずれも有意差を認めなかった.
【考察】
単二層縫合はZ一層縫合と比較すると,子宮筋層創部の厚さは保たれていた.また,単二層縫合は縫合回数が多いために,手術時間の延長や,創縫合に時間がかかることによる出血量の増加を予測したが,実際には両者に有意差は認めず,単二層縫合は創部菲薄化予防に有用であると考えられた.