Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 母体・分娩②

(S725)

子宮内反症予防を目的とした胎盤娩出時経腹超音波検査の有用性に関する検討

The efficacy of transabdominal ultrasonography during placental delivery for prevention of uterine inversion

米谷 直人1, 加地 剛1, 七條 あつ子1, 高橋 洋平1, 中山 聡一朗1, 前田 和寿2, 苛原 稔1

Naoto YONETANI1, Takashi KAJI1, Atsuko HICHIJYOU1, Youhei TAKAHASHI1, Souichirou NAKAYAMA1, Kazuhisa MAEDA2, Minoru IRAHARA1

1徳島大学産科婦人科, 2四国こどもとおとなの医療センター産婦人科

1Obstetrics and Gynecology, Tokushima University, 2Obstetrics and Gynecology, Shikoku Medical Center for Child and Adults

キーワード :

【緒言】
子宮内反症は,約3000例に1例と報告されており,稀ながらも発生すると治療に難渋することも多く,本邦でも毎年1例程度の母体死亡の原因となっている.従来,その治療法については様々な検討がされてきたが,予防法については十分には議論されていない.当院では2012年6月以降,子宮内反症を予防することを目的として,胎盤娩出時には原則として経腹超音波検査を施行することを導入した.本研究の目的は,この胎盤娩出時経腹超音波検査の有用性について検討することである.
【対象と方法】
単施設後方視的コホート研究として行った.2009年6月からの6年間に,当院において,妊娠36週以降,単胎経腟分娩に至った症例を対象とした.胎盤娩出時経腹超音波検査としては,Voluson i®(GE Healthcare)もしくはVoluson e®(GE Healthcare)を使用し,児娩出後,分娩担当医もしくは助産師が2D経腹超音波プローブを用いて経腹的に子宮の矢状断を描出し,胎盤の子宮筋層からの剥離や胎盤が娩出される様子を観察,子宮内反症が起こっていないことを担当医が確認した.胎盤娩出前の子宮収縮剤の投与はルーチンでは行わず,担当医の判断で適宜投与した.
解析①:2009年6月からの3年間を胎盤娩出時経腹超音波検査の導入前群,2012年6月からの3年間を導入後群とし,各群の子宮内反症の発生頻度を求めた.
解析②:胎盤娩出時経腹超音波検査導入後の2012年6月からの3年間の対象を,超音波検査を施行できた群(施行群)と施行できなかった群(非施行群)とに分類し,Studentのt検定を用いて2群間の分娩第3期時間及び分娩時出血量を比較した.
統計解析にはJMP software version11(SAS Institute Inc. USA)を使用した.
【結果】
解析①:解析対象は2377例(導入前群1239例,導入後群1138例)であった.子宮内反症の発生率は,導入前群:0.24%(3/1239),導入後群:0%(0/1138)であった.
解析②:解析対象は797例(施行群400例,非施行群397例)であり,超音波施行率は50.2%であった.分娩第3期時間の中央値(および四分位範囲)は施行群では8分(6‐13分),非施行群では6分(5‐8分)であり,施行群の方が有意に長かった(p<0.01).分娩時出血量の中央値(および四分位範囲)は施行群では396ml(252.5‐586.5ml),非施行群では355ml(228.75‐554ml)であり,有意差を認めなかった(p=0.11).
【結論】
胎盤娩出時経腹超音波検査導入後も,超音波の施行率は約50%にとどまっていた.導入後,子宮内反症の発生は認めなかったものの,その施行は第3期時間の延長と関連があった.胎盤娩出時の経腹超音波検査は子宮内反症を予防する上で有用である可能性があるが,全例に行うのは困難であると考えられた.