Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.966(2018年)→0.898(2019年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2016 - Vol.43

Vol.43 No.Supplement

一般口演
産婦人科 スクリーニング

(S722)

胎児超音波スクリーニング検査における胎児の描出に与える因子の検討

Depiction factor analysis for prenatal ultrasound fetal screening

入江 明美1, 笹原 淳2, 金沢 了子1, 宮城 晶子1, 石井 桂介2

Akemi IRIE1, Jun SASAHARA2, Ryoko KANAZAWA1, Akiko MIYAGI1, Keisuke ISHII2

1大阪府立母子保健総合医療センター検査科, 2大阪府立母子保健総合医療センター産科

1Department of Clinical Laboratory Medicine and Anatomic Pathology, Osaka Medical Center and Research Institute for Maternal and Child Health National Center for Child Health and Development, 2Department of Obstetrics, Osaka Medical Center and Research Institute for Maternal and Child Health National Center for Child Health and Development

キーワード :

【目的】
当院ではローリスクの単胎妊婦に対して,妊娠第2三半期から第3三半期に認定超音波検査士によって,胎児超音波スクリーニング検査(スクリーニング検査)を実施している.スクリーニング検査は,20分の予約枠にて,胎児推定体重や羊水量と,胎児形態異常を検出するため系統的に行っている.当院で行われたスクリーニング検査において,部位別の描出不能率を明らかにし,描出不能に症例における臨床的特徴を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】
2014年1月から2014年12月に,当センターでスクリーニング検査を施行した1,006件を対象とした.検査項目における部位別の描出不能率を算出した.評価部位(項目)は,頭部(頭蓋骨・側脳室後角・透明中隔腔・大脳鎌・脈絡叢・小脳横径・大槽),顔面(眼窩・口唇・横顔),脊椎,四肢(上肢・下肢・手指・足部),胸部(心四腔断面,大動脈流出路,肺動脈流出路,3VV,3VTV,大動脈弓,肺静脈,肺,横隔膜),腹部(胃胞,腸管,腎臓,腹壁,膀胱,臍輪部,臍帯血管数),胎盤臍帯付着部位とした.部位別の描出不能率および項目毎の描出不能率を算出した.非妊時BMI(18.5未満18.5以上25未満,25以上),羊水量(AFI未満5cm,5cm以上25cm未満,25cm以上),胎位(頭位,非頭位)・児背の向き(伏臥位,仰臥位)の各部位の描出不能率対する粗オッズ比(cOR)を算出した.さらにP値(P)<0.20であった因子を用いて調整オッズ比(aOR)を算出した.
【結果】
BMI18.5未満は19.1%,18.5以上25未満は67.5%,25以上は13.4%であった.AFI5cm未満は認めず,5cm以上25cm未満は96.6%,25cm以上は33.3%であった.非頭位は25%,伏臥位は9.3%,仰臥位3.1%であった.一つ以上の細目で描出不能項目があった部位別の頻度は,頭部60.2%(頭蓋骨0%・側脳室後角15.5%・透明中隔腔11.0%・大脳鎌2.2%・脈絡叢22.5・小脳横径20.4%・大槽30.5%),顔面52.3%(眼窩17.9%・口唇11.7%・横顔50.3%),脊椎2.4%,四肢30.6%(上肢1.4%・下肢0.1%・手指28.3%・足部6.9%),胸部34.5%(心四腔断面0.1%,大動脈流出路0.9%,肺動脈流出路0.9%,3VV0.9%,3VTV7.5%,大動脈弓30.9%,肺静脈2.4%,肺0.1%,横隔膜0.1%),腹部22.8%(胃胞0%,腸管0.1%,腎臓2.9%,腹壁0.3%,膀胱0.5%,臍輪部17.6%,臍帯血管数0.6%),胎盤臍帯付着部位30%であった.描出不能に関連する因子は,頭部では仰臥位7.5(2.2-25.2)P<0.01,顔面では伏臥位5.2(2.9-9.2)P<0.01,仰臥位0.3(0.2-0.9)P<0.05,非頭位1.9(1.4-2.6)P<0.01,脊椎では非頭位aOR3.00(1.32-6.80)P<0.01,仰臥位aOR6.66(2.09-21.03)P<0.01,四肢では非頭位が1.4(1.1-1.9)P<0.05,胸部では非頭位aOR1.4(1.1-1.9)P<0.05,伏臥位aOR0.3(0.2-0.6)P<0.01,BMI aOR1.6(1.3-2.1)P<0.01,腹部では非頭位aOR1.6(1.1-2.3)P<0.01,伏臥位aOR3.7(2.4-5.7)P<0.01であった.胎盤臍帯付着部位の描出不能に関連する因子は無かった.
【考察】
頭部の観察項目では,頭蓋内の後方に位置する脈絡叢・小脳横径,大槽の描出不能率が高く,仰臥位が頭部の描出不能に関連すると考えられた.顔面の観察には児が伏臥位でないことが必要と考えられた.胸部では胎位に加え母体肥満が描出不能に関連する因子として抽出された.胸部の項目は他の部位に比べ心血管走行の詳細を対象としているため,胎児骨による音響陰影に母体肥満が加わると,描出不能率が上昇することが考えられた.
【結論】
ローリスク妊婦に対するスクリーニング検査において,頭部,顔面,胸部の描出不能率が他の部位と比較して高かった.描出不能に胎位,児背,母体肥満が関連していた.